セッション:[B-3] Englishnization and Engineering – How Rakuten Supports Engineers –

スピーカー:Kyle Yee, Kazumi Koizumi, Eiji Shinohara

これは、楽天テクノロジーカンファレンス[B-3]枠のセッション「Englishnization and Engineering – How Rakuten Supports Engineers –」のレポートです。楽天のEnglishnization Projectのこれまでとこれからについての発表でした。

■Englishnization Projectとは

既にご存知とは思いますが、楽天の社内公用語は英語です。Englishnization Projectは、そんな楽天の社内公用語英語化を推進するための取り組みです。

 

■なぜ英語?

なぜ楽天は社内公用語を英語にするのか?
それは単純に「売り上げに占める海外の比率が増加し、海外の市場の重要性が高まっているから」だそうです。

楽天が企業である以上、「顧客に価値を提供し、その対価を得る」ことが存続理由になります。顧客が英語をしゃべるなら、企業も英語をしゃべる。この理屈で言えば、英語化もごく当たり前とも言えそうです。日本語だけで何不自由なく過ごせる日本に居ると、こういう発想は出にくいのだろうなと思いました。

 

■英語化の現状とこれから

このセッションを通して、楽天が社内公用語英語化に取り組みはじめてから、ものすごい勢いで英語スキルをアップさせてきたことが分かりました。

英語化開始当時、TOEICスコア750以上の割合が29%だったのに対し、2012年6月の時点で実に87%がTOEICスコア750以上を達成したそうです。
750……なんとなくすごいのだろうと思いながらも「どのくらいすごいのか?」がピンとこなかったので、TOEICスコア750が意味するところを知るべく「TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルの相関表」を調べてみました。すると、TOEICスコア730で「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。」となっていました。

2年で会社丸ごと「どんな状況でも適切なコミュニケーションができる素地を備えている。」状態になったというのは驚きです。

これで十分では?と思いそうですが、今後さらなる英語化を進め、TOEICスコア800+スピーキングスキルの向上を目指して英語化に取り組んでいくそうです。

 

■楽天の1日は、英語に始まり、英語に終わる

ローマは1日にしてならず、英語化も1日にしてならず。

楽天では、英語化を推進するべく、社員向けのさまざまな教育プログラムを用意しているそうです。

  • 朝は、Morning Vocabulary Lesson
  • 昼は、Lunch Study
  • さらに、Office hourも設定、
  • かつ、通勤時間には、英語学習iPhoneアプリのiKnowでダメ押しの英語

親の仇か?というほどに英語漬けです。
昨今の景況を鑑みて、短期での投資回収が見込めない教育予算が削られやすいこのご時勢、これほど教育に手間暇と予算をかける会社もまれなものです。これだけのことを2年続けてきたのであれば、TOEICのスコアアップも納得です。

 

■英語ができるとオイシイの?

エンジニアにとって「英語はできたほうがいい」という理屈は、誰もが認めるところでしょう。英語で記述されたリファレンスを読む、StackOverflowの類似の現象を参考にする、そもそもプログラミング言語が英語etc.、エンジニアが英語に関わらない日などありません。日本語だけでなく英語からも情報を得られるほうが有益なことは間違いありません。

また、楽天ではエンジニア向けに、海外から著名なコーチを招き、研修を行っています。『The Agile Samurai』(日本語版『アジャイルサムライ-達人開発者への道-』)の著者Jonathan Rasmusson氏や[G-1]Design Thinkingに登壇したJeff Patton氏など、いずれ劣らぬ著名人が招かれ、どちらの研修も英語で行われたそうです。

 

■成功か失敗か?

このセッションを聞いて率直に「すごい」と思いましたが、正直なところ「英語化が正解」かどうかはよく分かりませんでした。

全社向けの英語化の成否を語るには、私は門外漢なので何とも言えません。エンジニアの英語化は、得るものがたくさんあることは納得ですが、それがうまく機能するかどうかは、まだ判断がつきません。

この先、英語というツールを駆使して力を増した楽天エンジニア達がどれだけCoolなサービスを出してくるのか、成功も失敗も、結局はそこで語られるべきものなのだと思いました。


参考


公認レポーター 今江 雅俊