野球から学ぶ「良いチームの作り方」:食べ歩きSEの「野球っぽいお仕事の話」(2)

■今回のメインディッシュ

集団全体を復旧することだ

強打者ジアンビの穴と三人の安物打者

2001年シーズンオフのお話。

アスレチックスの主力打者である、ジェイソン・ジアンビがFAになり、チームを去ってしまった。貧乏球団であるアスレチックスは、強打者ジェイソンの代わりになる打者を雇う予算が無い。
そこで、ビリーGMと球団フロントは対策を考え、一つの結論を出した。

ジェイソンの特徴である出塁率の高さに着目し、それ以外の特徴は無視して集めよう」

フロントが調べた結果、打率が高い、ホームランが打てる、守備が上手な選手は値段が高い。しかし、出塁率のみに着目(同時に、他の能力は諦める)すると、値段がグッと下がる。

こうして、アスレチックスのフロントは「出塁率は高いけど他はダメ」な「安物」打者を三人集めた。
その三人とは、

  • 二軍暮らしが長い無名打者
  • 力が衰え、チームから体よく追い出されたベテラン強打者
  • 選手生命を絶たれるかもしれない大怪我を背負った元捕手

三人の年俸を合計しても、ジェイソン一人に及ばない。
世間は笑った、「こんな奴らでジェイソンの穴を埋めるのか」と。

2002年のシーズンが始まり、三人の「安物」は活躍した。塁に出たり、ときに得点を上げたり。昨年と変わらず……どころか昨年以上の勢いで勝ち続けた。
シーズンが終わる頃には、笑ったのは世間では無く、アスレチックスだった。

アスレチックス、アメリカンリーグ西地区優勝
こうして、強打者ジアンビの穴は見事に埋まったのであった。

仕事の現場では?

仕事において「ジアンビの穴」を埋めるような成功を手にするには、どうすべきだと思いますか?

私が思うのは
組織(主にプロジェクト)のメンバーに対し、目的をハッキリと伝える
ことだと思います。

ここで、私の話を。
仕事上、プロジェクトチームにメンバーとして参画することもあれば、上司やお客さんからメンバーを提案して欲しいと依頼を受けて紹介することもあります。その際、先方から明確な要件が出ることもあれば、逆に不明確な要件が出ることもあります。

①明確な要件の例(※フィクション)

  • パワポが得意な人が欲しい。
    Microsoftの資格者並みの実力で、提案資料を作ったことがある人、希望。
  • iPhoneアプリを作れるプログラマーが欲しい。
    格闘ゲームのアプリを作ったことある人、いませんか?
  • X君がやっているクライアントとの調整作業を、代わりにできる人を追加しましょう。

②不明確な要件の例(※同じくフィクション)

  • とにかく忙しいので、誰か優秀な人を探してください!
  • iPhoneアプリのスペシャリストを提案してください!
  • エースのY君がプロジェクトから抜けるので、彼のような人を探してください!

①は、チームの目的に沿った例です。

「提案資料を作れるパワポ使い」「格闘ゲームが作れるiPhoneアプリ屋さん」「クライアントと折衝できる経験&コミュニケーション能力がある人」と、目的・役割が明確化されています。

「出塁率をキープする」という目的で「出塁率が高い」選手を集める!のとほぼ同じレベルの明確化です。目的・方針を打ち出し、的確に補強することでみんなで戦えるチームが作られます。

世間一般では、②が多いかなと思います(少なくとも、私の経験はそうです)。

「忙しい」だけでは、目的、ひいては任せるべき役割が見えてこないし、「スペシャリスト」だけでは「スペシャル」なプログラマーさんなのか、企画からマネージメントまで(プログラミング以外の)「スペシャル」な能力を求めているのか分かりません。

「エースのY君の代わり」は、一見すると明確に思えますが、実はこれが一番難しい。Y君の「どこがエースなのか」明確になっていません。「マネージメントができる」「営業トークが上手」「プログラムが書ける」etc…。具体的に「できる」「エースと呼ばれる」部分を明確にすべきです。代わりの人に活躍してもらう意味でも、大事な観点だと思っています。

心がけたいこと

では、私たちはどうすれば良いのでしょうか?

チームを運営する立場の場合

チームを運営する側(マネージャーやリーダー)は、チームの方針を明確にしましょう
チームの方針が出れば、プロジェクトの目的メンバーの役割も見えてくるし、仮に役割が不明確でも、メンバーが自発的に動きやすい環境が生まれます。

「方針」が判断材料になる → 能動的に動ける環境が生まれる
と私は思っています。

チームメンバーの場合

チームメンバーは、方針がハッキリしないマネージャーやリーダーに愚痴る……のではなく、徹底的に話し込み、方針を明確にするお手伝いをすることを強くオススメします。

私の場合、②のような状況になったときは、自分なりにチームの状況を考え、目的が見える形までブレークダウンして提案をするように心がけています(余談ですが、この点が私の強みだと自覚しています)。

目的がハッキリしていないことを、組織や上の立場になすりつけたくなりがちですが、「そもそも、どこが問題か明確化していない」というシチュエーションは、よくあるものです。そこで誰かの責任にして終わらせるのではなく、

聞き上手に徹して、状況を把握・整理した上で提案する
この意識を持って欲しいと思います。

素人でもできる

最後に、再び野球の話を。

「出塁率の大切さ」「他の指標の価値」を説いた人は、実は野球経験者ではありません。野球が好きで、勝利を目指して解決案を考え、提案した「素人」です。彼なりに問題を把握し、オーナー、球団社長、GMを説き伏せたからこそ、ジアンビ抜きでも地区優勝ができたのです。

私たちも、真似してみませんか?

 

■今回の食べ歩き

沖縄酒場SABANI

身体にやさしい沖縄料理をリーズナブルな価格で提供する、知る人ぞ知る東京沖縄料理の名店。その実力は、日替わりのお通しでオリオン生ビール(580円)が飲み干せてしまうほど。

日替わりのお通し
日替わりのお通し

今のオススメは「てびち入り島おでん」(880円。+100円で卵追加OK)
てびち入り島おでん
てびち入り島おでん

カツオ出汁が効いたスープに浸った具材たちのハーモニーがヤバいです!
ちなみに、私はお店とは長い付き合いで、おでんも4年間食べ続けています。


これまでの食べ歩き

食べ歩きSEの「野球っぽいお仕事の話」コーナー

@shinyorke
書き手:中川 伸一

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