アジャイルマインドで◯◯を変えて行こう!:Agile Japan 2016 レポート(3)

Agile Japan 2016 セッションA-1

ご存知、我らが平鍋さん登場!!!

日本のアジャイル界をリードしてきた平鍋さんは、ソフトウェア開発を通してみんなを幸せにしたいと訴えます。アジャイルとともに歩んできた歴史をひもときながら、これからの日本のソフトウェア開発とアジャイルがどうあるべきなのか、その思いを熱く語ってくれました。

Agile Japan 2016 セッションA-1
平鍋さん参上!

挫折もあったアジャイル史

アジャイルと言えば平鍋さん、というくらい代名詞的な存在でサクセス・ストーリーを想像しがちですが、苦労や挫折も多かったそうです。新しいことに挑戦するからこそ障害も多い。当然と言えば当然ですが、その辺を感じさせないのも、すごいところかもしれませんね。

2003年にXPアンギャ(行脚?)を始め、2004年にはADC2004(Agile Development Conference 2004)に参加するなど精力的に活動するも、いったん挫折。この頃は、今ほどアジャイルという言葉が広まっていない時期だったそうです。特に医療系、金融系などのお堅い仕事では「(アジャイルなんて)今の仕事で使えないじゃん!」といった反応も多かったとのこと。
そんな中、「今の仕事を今よりうまくすることはできる」と言った人(達?)がいたそうです。この言葉を聞いてからは、アジャイルにこだわることをやめ、アジャイルの要素を使って「いきいきと仕事がしたい」「お客さんと喜び合える仕事がしたい」と気持ちを切り替えたそうです。

Agile Japan 2016 セッションA-1
個人的アジャイル史

アジャイルがダメなら「おじさんホイホイ」

アジャイルへのこだわりを捨てた平鍋さんは、なるべくアジャイルという言葉を使わずに現場をよくする活動を始めます。
その名も「プロジェクトファシリテーション」(通称「PF」)。アジャイルを普及させるためにアジャイルという言葉を使わない奇策に打って出ました。さすがというか、この逆転の発想がとてもナイスですよね。

プロジェクトファシリテーションは、おじさんの大好物を含む3つの要素で構成されています。

  • アジャイルソフトウェア開発
  • トヨタ式生産方式(TPS) ← おじさんの大好物
  • ファシリテーション

TPS(見える化、Pull生産、多能工、かんばん、あんどん、カイゼン)は、確かにおじさんは(筆者も例外なく)大好物ですよね。おじさんホイホイのプロジェクトファシリテーションを使って、プロジェクトを見える化(透明性を高める)することから始めましょう、と訴えたそうです。

なぜ「見える化」から始めるのか?

それは、正しく見える化することがメンバーの自発的な行動につながるからだそうです。

平鍋さんは野球のスコアボードにたとえて説明してくれました。
もしスコアボードの情報が間違っていたら、野球の試合は成立しません。スコアボードに正しい情報が示されているからこそ、選手や審判は正しい判断ができます。観客や解説者もですね。
たとえば、スコアボードが2死フルカウントを正しく示していたら、ランナー(選手)は指示がなくても走ります

ソフトウェア開発プロジェクトも、かくあるべしと言うわけです。そしてソフトウェア開発の現場ではスコアボードのかわりに「タスクかんばん」を使ってはどうか?というのが平鍋さんの提案です。
筆者の現場でもアナログの「タスクかんばん」を使用しています。最初はみんな、このアナログな進め方を奇妙なものを見るような目で眺めていました。実際にやってみて効果を実感した今では、すっかり定着しています。タスクかんばんがないと落ち着かなくて不安になるくらいです。

成功とやりがい —ORではなくANDで

プロジェクトファシリテーションの目的は、次の2つを両立させることです。

  • ソフトウェア開発プロジェクトの成功
  • エンジニアのやりがい(エンジニアとしてよりよい人生の時間を過ごす、気付きを得る)

平鍋さんの言葉をそのまま借りるなら「どっちも諦めない、ORでなくANDをとっていこう!」ということですね。
ここで大切なのは「助け合う」「スルーしない」「現場で工夫する」こと。

お客さまにチームで価値を届けていこう

昨年(2015年)10月からチェンジビジョンの社長に加え、永和システムマネジメントの社長にもなった平鍋さんは、社長として全社員にアジャイルの話をしたい、なぜそのような話をするのかも自分の言葉で直接届けたい、と社員に直接伝える場をつくったそうです。

社員に伝えたいこと、それは……。

  • アジャイルの考え方(マインドセット)
    • チームで協力して、顧客に価値を届ける
    • 見える化とふりかえりでフィードバックを得ながら、自ら考えて改善していくチームをつくる
  • アジャイル開発に限らず、ウォーターフォールでも導入支援でも保守でも、ソフトウェア開発以外の管理部や営業や事業支援や経営でも、アジャイルの考え方は社是に近く、大切にしていきたい

説明のしかたも、とてもユニークでした。「アジャイルソフトウェア開発宣言」と「わが社の社是」の共通する部分を抜き出して、「アジャイルソフトウェア開発宣言 ≒ 社是」という構図で説明するところなんかさすがです。もはや、あらゆるものでアジャイル(の考え方)を体現しているのでしょう。

ここでも「助け合う」「スルーしない」「現場で工夫する」を強調していたことがとても印象的に残りました。

手法よりもマインド、そして勇気

平鍋さんは最後に「変えていこう」というメッセージとともに次の言葉で締めくくりました。

与えられた仕事から、気づく仕事へ

自ら気づき、行動することを価値とする文化を創ろう

他人と過去は変えられない、自分が変わって未来を変えよう

ワークスタイルを変えよう、この業界を変えよう

筆者はこのメッセージを、自分たちの頭で考えて、ソフトウェアの開発をもっとうまく自分たちに合ったやり方へと変えていくことだと受けとりました。平鍋さんを含む先達が多くの失敗や成功を通して残してくれたプラクティスや教訓を取り入れながら変えていけたらいいなと思います。

平鍋さんのセッションを通して感じたこと。それは、手法(プロセス)としてのアジャイルを大切にするのと同じかそれ以上に、考え方(マインド)としてのアジャイルを大切にすることです。
今の仕事を今よりうまくするために、勇気を持って変えていくこと。それがあれば、どんな手法をとったとしても「アジャイルなもの」になるのではないでしょうか。

アジャイルマインドであなたはどんな◯◯を変えていきますか?

Agile Japan 2016 セッションA-1
変えていこう

参考文献


Agile Japan 2016

Agile Japanとは

レポートコーナー

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