• 著者:筑紫哲也
  • 発行所:集英社
  • 価格:720円+税
  • お薦め度:★★★★☆(★5つが最高)

概要

亡くなる直前。雑誌に掲載された2回分の原稿と、2つの大学で行った講演。稀代のニュースキャスター、最後のメッセージである。

..そして、この10年ほどは場所を変えながらも、大学で教えてきました。長崎、東京、京都というのが、私の教えてきた場所です。もちろん、「本職」の教授たちとはちがって、キャスターをやりながら、週末や昼間を使っての〝素人教授〟ですが、素人だからやれる乱暴もあります。

そういうさまざまな出会いのなかで、私が時々試みてきたことが二つあります。

ひとつは「夢」について、作文またはレポートを書いてもらうことです。

(中略)

では、もうひとつの試みとは何か。

それは手紙です。

たいてい学期末のしめくくりなどですが、普段のレポート、小論文の代わりに、手紙を書いて提出するよう求めます。

手紙の相手はだれでもよい-。

(中略)

そういうことを若者たちに課しておいて、自分はどうなのか。

同じように、私も手紙を書け、と言われたら、だれに書くか-。

私は「あなた」に書こうと思う。

キャンパスでも、職場でも顔を合わせたことはないが、これから「夢」を見たり、この社会を担っていくことになる、若い未知の友人であるあなたへ。(P11)

手紙。個人から個人へ。私的な思い,感情..。

目次

  • 第1章 まず憲法について話してみよう
  • 第2章 そもそも日本人とは何者か
  • 第3章 二つの日本人論を読む
  • 第4章 沖縄から日本が見えるか?
  • 第5章 さまざまなメディアを歩いてみよう
  • 第6章 雑誌と新聞をめぐる私的ジャーナリズム論
  • 第7章 国家、この厄介なるもの
  • 第8章 教育こそが国の基本である
  • 第9章 「知の三角形」という考え方
  • 第10章 この国がおかれている現実を見つめる
  • 第11章 そして、この国の行方は・・・

お勧め度

★★★★☆(★5つが最高)

あとがきには、著者の高校生の頃の文章が収録されている。最後のメッセージのあとがきが、若かりし頃の最初のメッセージ。粋な計らいだ。

柴田  浩太郎 2010.2.11

富士通株式会社 柴田浩太郎(SHIBATA Kohtaro)

社内プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師・運営を担当。食べ物は、お好み焼き、たこ焼き、焼きソバなどソース系全般を好む。

※このコーナーはこうたろうさんが知人宛にメール配信されている図書紹介を許可をいただいて掲載しているものです。