セッション:[D-2] The Art Of Agile ProjectManager スピーカー:市谷 聡啓 さん |
■超強烈な印象を与えたセッション
230枚用意したというスライドは、やっぱり40分では終わりませんでした。しかし、市谷さんのセッションは、僕に超強烈な印象を与えました。
その証拠に、僕はその後のセッションすべてをボッーとしてしまい、ほとんど覚えていないのです。ですから今回のレポートは、このセッションだけ取り上げることをご了承ください。
さらに申し訳ないのは、セッションの中身を詳しくお伝えできないことです。早いテンポだったので、詳しくメモできなかった(Rhodia No13で2枚分)ことと、どうしてもお伝えしたいのは、セッションの内容ではないからです。
セッションの内容を詳しく知りたい方は、Togetterをご覧ください。みんな、よく聴きながらTweetできるなーと感心するぐらい詳しい様子が分かります。
■アジャイルに対する違和感
さて、早速セッションの核心に触れたいところですが、その前に僕のアジャイルに対する立ち位置を説明します。
僕は小さいシステム屋さんで少人数で小さいシステムを作っています(大きいシステムも切り出して小さく作っているという意味です)。特にアジャイルのプラクティスを意識していませんが、結果的に、アジャイル宣言に沿った考え方でシステムを作っていると感じています。
僕には、アジャイルの個々のプラクティスをやっていないからこそ感じるのであろう、漠然とした違和感が2つありました。
一つは、アジャイルって要は組織戦術でしょ?です。
お客さんに利益を出してもらうには、アジャイルだけでは何かが足りないのではないか?
もう一つは、ただプラクティスをやりたいだけの人が多く感じること。
楽しそう、やってみたい、これをやればきっと炎上しなくなる、世界から戦争がなくなる……、とか。
僕はあまりアジャイルのイベントに参加していませんが、それでも毎回耳にする質問があります。それは「現場で導入したいのですが、上が許してくれない……。どうすれば説得できますか?」(えーまたそれ?別にやらなきゃいいじゃん……的な)
この2つの違和感。ずっと漠然と感じていただけですが、今回のセッションを聞いてはっきりと認識できました。
これが今回のセッションの1つめの成果。
さらに驚くことに、市谷さんは、僕のこれから進むべき道も示してくれました。これが2つめの、そして最大の成果でした。
Photo:@daipresentsさん
■ビジネスアジリティーという答え
「ビジネスアジリティー」という言葉。
40分のセッションの中で語られたのは、ほんの数分でした。ですから市谷さんが伝えたいことは、もっと別のところにあると思います。しかし、僕にはこの言葉がとても重く響きました。
「ビジネスアジリティー」は初めて聞いた言葉ですが、これこそ僕が漠然と感じていた2つの違和感の答え、そして僕が進み始めようとしていた道でした。
- 現場を最適化(チームアジリティ)しても、それがビジネスに直結するかどうかは別問題。
- 誰のためのソフトウェアか、顧客は満足しているか、顧客のビジネスは何なのか、僕らは顧客のビジネスに貢献できているのか。
この問いに答えられてこそ、アジャイルにできている、ソフトウェア開発をしている、自分たちのビジネスをしている、と言えるのではないでしょうか?
……と、文章で書くとほんの数行ですし、ここに至るまでの説明が長すぎるでしょ!と思いますが、このほんの数行(40分のセッションのうち数分)が、僕の意識を大きく変えてくれたのです。
この気づきを得た今、僕は本気で情熱を持ってビジネスを学び、ソフトウェアを通して顧客のビジネスに貢献するのだと宣言したいのです。
これが市谷さんのセッションを聴いて僕が出した結論です。
■もっと磨きをかける
僕が伝えたかったことは以上ですが、これでは短いので、他に2点、感じたことを紹介します。
一つめは、230枚のスライドを超高速でめくるからこそ感じたこと、それは、市谷さんがセッションで話したそれぞれのプラクティスが、パタンランゲージのようだったということです。
市谷さんご本人がどう考えているかは分かりませんが、LeanやExperienceMapやユーザーストーリーマッピングなどのプラクティスの名前はパタン名。プラクティスの内容は解決策。そしてパタンを用いる動機(問題)は、市谷さんがセッションで語ってくれました。
普段はいろいろなセッションや書籍でバラバラに存在していたプラクティスを、230枚のスライドにまとめて40分でバッーと紹介することで、僕らはまとめて知ることができました。
二つめは、Togetterで見当たらなかったのですが大事な言葉です。それは、
「アジャイルだからプロジェクトが成功するのではなく、プロジェクトのメンバーができる人たちだから、アジャイルプロジェクトが成功する」
(正確ではありませんが、意図は合っているはず……)
グッときました。
逆を言えば、僕たちはもっとできる人にならなければいけないのだと思います。アジャイルに限らず、さまざまな技術それぞれにも、もっと磨きをかけなければいけないのだなと。
■人生を変えるセッション
超高速のまるでF1を見ている感覚に似たセッションでしたが、とても得るものが大きく、有意義どころか、人の(僕の)人生を変える素晴らしいセッションでした。
最後になりますが、置いてあったcherry beansを大量に食べたのは僕です。
ごめんなさい。
参考
Ultimate Agilist Tokyoをもっと知るには
公認レポーター 木目沢 康廣
※プロフィールは後日公開します