セッション:[B-4] やる?、やらない?の対立を考える。

スピーカー:東 秀和 (@oyukun) さん

 

■TOCとは

TOCとは「Theroy of Constraints(制約条件の理論)」の頭文字をとったもので、イスラエル出身の物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した理論体系です。TOCの詳細は、Wikipediaの制約条件の理論を参照してください。

書籍『The Goal』(日本語版『ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か』)で有名になった当理論は、製造業のみならず、IT、行政、非営利団体などさまざまな組織で利用されており、特に目覚ましい発展をしているのが教育分野でのTOC、通称「TOCfE(TOC for Education)」だそうです。
TOCの強力な理論ツールを、教育に応用し、考える力を伸ばします。

 

■TOCfEの3つのツール

3ステップで物事の改善を進めていきます。

  1. 何を変えるのか?
  2. 何に変えるのか?
  3. どうやって変えるのか?

TOCfEでは、ステップに合わせた3つのツールを使います。

  1. 何を変えるのか?
    • →ツール:ブランチ
    • →問題点の関係、話の筋をつかみます。
  2. 何を変えるのか?
    • →ツール:クラウド
    • →対立する問題のWin-Winな解決策を見つけます。
  3. 何に変えるのか?
    • →ツール:ターゲット・ツリー
    • →問題解決への道筋を探します。

今回はこのうち「何を変えるのか?」の「ブランチ」ツールを、実践で学びます。

 

■「ブランチ」ツールの使い方

ブランチの使い方は、

  1. 事実を並べる。
  2. 事実同士をつなぎ合わせる。
  3. その理由を考える。
  4. 最後につながりを確認する。

例として「宿題をしないと悪い成績を取る」で考えると次のようになります。

  1. 事実を並べます。
    • 「宿題をしない」「悪い成績を取る」
  2. 事実をつなぎ合わせます。
    • 「もし〜ならば〜です」という形で事実をつなげます。
    • もし「宿題をしない」ならば「悪い成績を取る」
  3. 理由を考えます。
    • 「宿題をしない」は、直接「悪い成績を取る」という事実には結びつきません。
    • もう一つの事実「宿題の内容がテストに出る」が抜けていることが分かります。
  4. つながりを確認します。
    • 文章がスムーズにつながるか確認します。
    • 「もし、宿題をしなくて、宿題の内容がテストに出るのならば、悪い成績を取ります」
    • 文章が破たんしていた場合、他の事実が不足していることになります。


Photo:@spring_akiさん

 

■ブランチを実践!

5〜6人のチームになって、お題を1つ決め、チーム全員でブランチを考えました。

私たちのチームのお題は「部下に仕事を頼んだが、直前になって間に合わないことが発覚」。いろいろな事実や想定はどんどん出たのですが、それら事実同士を結びつけるのが難しかったです。残念ながら時間オーバーで、最後まで終えることはできませんでした。

やってみると非常に簡単で、紙とエンピツさえあれば、どこでもできるというのが魅力的でした。しかし、事実同士を結び付ける作業には、慣れが必要かなとは思いました。
日常の中で使用してみたいと思います。

 

参考


公認レポーター 川辺 卓矢