- セッション:基調講演1
アジャイル・テスティング 〜チーム全体のためにテストとテスターができることを学ぶ旅 - レポーター:松井 聡(公認レポーター)
- 作成日:2015年5月6日
- プロフィール:Agile Japan 初参加
- 執筆レポート:http://www.manaslink.com/so-matsui
『実践アジャイルテスト』の共著者のひとり、Janet Gregory氏による基調講演。
QA出身の自分としては、この基調講演が今回の一番のお目当てでした。テスティングそのものというよりは、テスターがいかにチームのコミュニケーションやチームビルディングを支えることができるかという話題が中心でした。
以下に、当日のスライドが公開されています。
グローバルチームのチャレンジ
本来は物理的に同じ場所に集まった小さなチームがベストですが、グローバルなチームにも利点(多様性など)があり、その制約(時差やコミュニケーションコストなど)とともに受け入れるべきだとJanetは言います。
言語や歴史、文化の違いは当然あります。”Play nice in the sandbox” 「砂場では仲良く」と言われたら、どう解釈するでしょうか。同じ文化背景を有していれば、大体言わんとしていることは分かります。実際には「すべて共有する」「他人のものは勝手に使わない」などのシンプルなルールとして明文化できます。
また、言葉だけでは伝わらないことも多々あります。
隣の座席の人とペアになり、一方だけがスライドの絵を見て、見ていないもう一方に説明するという小エクササイズが実施されました。私は絵を見ないほうの役割でしたが、実際の絵を見たらだいぶ想像とは異なりました。もちろん、聞いた情報にウソはなかったのですが、いかに聞いただけの情報では不十分か思い知らされました。これはとても印象に残るとともに、会場の空気が温まるエクササイズでもありました。
テスティングやテスターができること
グローバルなチームに限らず、多様性をもったメンバーで構成されたチームの中でテストはどういった役割を果たせるでしょうか。
まず、テスティングをチーム全体の問題としてとらえること (Whole team approach)。テストを手段としてチームの共通理解を育てることが可能です。
たとえば完了定義ひとつとっても、期待するクオリティレベルは人によって違っているかもしれません。例を用いたり、写真を用いたり、絵を描いたりすることで具体的な情報をすばやくフィードバックすることが重要です。
対話する勇気と楽しむ気持ち
ゾウは、親とはぐれた子ゾウがいると、群れの別のゾウが面倒を見るそうです。楽しむこと、相手を知ること、相手を気遣うことが、信頼関係のあるチームを作る要となります。
“Step out of comfort zone”
自分にとっての安全領域から一歩踏み出すこと。その勇気がチームに成功をもたらすことを改めて教えられました。
懇親会では、Janetの本を読んで疑問に思ってたことも勇気を出して(まさに”Step out of comfort zone”して)聞いてみました。
”Experiment! There is no one right answer”
(実験してみなさい、正しいひとつの答えがあるわけじゃない)
と励まされました。
ここでもらった大きな勇気が今回の一番のおみやげだったように思います。
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