Agile Japan 2013 テーマセッション A-1
- セッション:大手ベンダーが組織的に取り組むアジャイル開発の普及展開 〜お客様と共に時代を勝ち抜くための新しい「手札」を増やす〜
- スピーカー:小原 由紀夫さん(株式会社富士通アドバンストエンジニアリング)、誉田 直美さん(日本電気株式会社)、新井 広之さん(株式会社NTTデータ)、Mehra Rohitさん(株式会社NTTデータ・グローバル・テクノロジー・サービス・ジャパン)
日本を代表する大手ITベンダーである富士通、日本電気、NTTデータの三社がアジャイル開発にどう取り組んでいるのか、アジャイル開発に携わる人間にとって興味深い内容であった。参加者のモティベーションも高く、質疑応答が多かったため、時間不足でスピーカーによるパネルディスカッションが削られてしまうほどだった。
■不確実な仕様はシステム化しない
富士通の小原氏は、アジャイル開発とは根本的なところで同じ考え方と言われるリーンソフト開発を適用している事例を紹介していた。リーン思考といえば「無駄をなくす」という原則が有名であるが、ソフトウェア開発の現場では「顧客の意向を尊重しすぎた」「要件の真意を理解できないまま開発をした」などの結果、「作り過ぎの無駄」が発生したというケースをよく耳にする。
富士通では、中部国際空港向けのシステム開発を事例に、開発期限が迫る中、確実に仕様が変わらないもの以外は思い切ってシステム化をしないという判断を選択し、無駄が生じない開発を実践していた。
■バグは負債、アジャイルこそ品質第一に
NECの誉田氏からは、アジャイル開発における品質保証について説明があった。NECでは「ソフトウェア品質会計」という品質を向上させる施策を行っている。これは20年以上にわたって培われてきたソフトウェア品質管理の手法で、「作りこんだバグを負債と見なし、バグ摘出によりこの負債を返済、負債がゼロとなった時点で出荷する」という考え方がベースとなってる。
誉田氏によると、アジャイル開発こそ品質第一であるべきで、日々改善をモットーとし、チームで取り組むアジャイル開発こそ日本人が得意とするやり方だとも言う。
■プロジェクトに合った開発手段を
NTTデータの新井氏は、アジャイル開発を全面的に推進するのではなく、プロジェクトに合わせて開発手段を選択すべきであることを説明していた。コストや納期を重要視するならばアジャイル、スコープを重視するのであればウォーターフォールを選択する。
新井氏のチームは、さまざまな国籍の人で構成されており、文化や思想が異なるメンバーでさぞかし苦労が多いだろうと思いきや「同じチームだから人種は関係ない」「文化の違いを言い訳にしない」ことを強調していた。
■それぞれの取り組みから見えるもの
三社の説明を聞いて、アジャイル開発に対する根本的な考え方や進め方は、どこも大きな違いはなく、アジャイル開発にあたってどのポイントを重視しているかが、各社それぞれの微妙な違いを感じた。この違いがソフトウェアの品質や満足度、開発の効率性にどう影響するのか、そこを検証できればアジャイル開発の有効性を高める手段につながる気がしてならない。
公認レポーター 吉岡 弘貴
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EM Zeroのナカノヒト (@em_staff) · 2013年6月10日 at 09:30
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