- 著者:太田 直子
- 発行:光文社
- 価格:700円 + 税
- お薦め度:★★★★☆
概要
映画の字幕を作る人のエッセイ。作品が出来上がった後に、再度、映画製作者の側に立ち、言葉を紡ぎだしていく職人。時に、映画監督さえ想像もしなかった壁を情熱で乗り越えていく言葉の伝道師、いや魔術師か。
字幕は、翻訳というより要約なのである。(P15)
とはいえ吹き替え翻訳にも、さまざまな制約や苦労がある。そのひとつが「口合わせ」。しゃべっている人物が後ろ姿だったり画面の外にいる場合はいいのだが、はっきりと口の動きが見えているときは、できるだけそれに合わせた日本語にする必要がある。(P29)
要は、どこに「知識の基準」を設けるかなのだが、知識の格差も多様さも広がる一方だ。映画の観客全員に納得・理解してもらえる字幕が理想でも、現実にはあり得ない。(P164)
二流の映画評論家など、お相手にならない。対等に戦えるのは、短い言葉で勝負するコピーライターや囲碁・将棋の観戦記者か。それとも時代を半歩先行くお笑い作家か。
目次
外国映画の翻訳二種
第三の映画翻訳
映画字幕の作り方
吹き替えの自由と苦労
ちがって当たり前
他21章
お薦め度
★★★★☆
言葉のこだわり屋を、こんなところにも発見。嬉しい。
2012年03月12日
富士通株式会社 柴田浩太郎(Kohtaro Shibata)
社内プロジェクトマネジメント研修の企画・開発・講師・運営を担当。食べ物は、お好み焼き、たこ焼き、焼きソバなどソース系全般を好む。
※このコーナーはこうたろうさんが知人宛にメール配信されている図書紹介をご本人の許可をいただいて掲載しているものです。