エンタープライズにおけるアジャイル適用の課題と展望:Agile Japan 2014 レポート (5)

Agile Japan 2014 スポンサーセッションB-1


エンタープライズにおけるアジャイル適用の課題

アジャイル開発は既に多くの企業で採用されていますが、エンタープライズ分野での適用は進んでいるのでしょうか?三菱東京UFJ銀行がアジャイル開発と従来のウォーターフォール型開発を組み合わせた企業向けシステム開発手法である「エンタープライズアジャイル」を導入するなど、適用事例が徐々に増えてきていますが、依然としてアジャイル特有の課題が実在するようです。

CI&T社上田氏によると、顧客がアジャイルを適用しない理由として多いのは下記の通りです。

  • (アジャイルでは)全体の見積もりができない
  • 範囲が明確ではない
  • スケジュールが明確ではない
  • 請負契約ではできない
  • 受諾開発には向かない

さらに、アジャイル開発では下記のような問題が生じるケースが少なくありません。

  • スプリントが期間内に終わらない
  • ベロシティが安定しない
  • 品質があがらない
  • 物がよくない
  • チーム内の空気が重い(笑)

このような問題は、小規模の開発ではまだしも、規模が大きくなるエンタープライズ開発では致命的な問題に発展する可能性があります。このため、これらの問題が表面化しない対策が必要です。

講演中の上田善行さん(Agile Japan 2014 スポンサーセッションB-1)
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3つの「はかる」

では、どのように問題をクリアしていくべきでしょうか?

上田氏は、これらの問題は全て開発前に発生していると言います。つまり、開発計画を策定する時点で発生しているということです。このためCI&T社では、開発計画時点で3つの「はかる」を使って問題をクリアしています。

1つめは「要求の規模を測る」

エンタープライズでは開発の規模が大きいため、それを正確に把握することが重要になります。
CI&T社では規模のルールを策定し、工数ではなく規模(複雑性)で測る、一定以上の規模は見通しをよくするために分解する、開発チームが見積もる、などをポイントにより正確に測っているそうです。

2つめは「規模あたりの時間を計る」

次に、規模あたりの時間を計ります。
具体的には、ユーザーや顧客に提供する価値を記述する「プロダクト・バックログ」から各規模の割合を意識すること、見積もり工数が外れる確率を織り込むことがポイントになります。後者に関しては、CI&T社ではPERTを使用しているそうです。規模あたりの時間を計ることができれば、開発生産性と開発日数はおのずと明確になっていきます。

3つめは「スプリントを図る」

2つめの「規模あたりの時間を計る」で生産性を算出しているため、この時点でスプリントを確定できます。さらにベロシティを確定させるため、効率性を定義しベロシティを求めます。

この3つの「はかる」を実践するにはノウハウが必要ですが、CI&T社では計測、分析、改善を続けることでこれらの精度を高めています。このような高い精度の見積もりができれば、エンタープライズでもアジャイル適用が可能になるのです。

講演スライド(Agile Japan 2014 スポンサーセッションB-1)
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エンタープライズ開発で何を優先するか?

しかしながら、エンタープライズといってもさまざまな事例が存在します。
それぞれの特性を見極めて、アジャイルもしくはウォーターフォールを柔軟に適用していく柔らかい感性が、開発側には必要です。冒頭の三菱東京UFJ銀行のようなハイブリッド型も、その一つの答えでしょう。

いずれにしろエンタープライズ向けアジャイル開発はまだ始まったばかり。Agile Japan 2014でも、エンタープライズ向けのセッションが多かったことから、今後その手法がブラッシュアップされ、適用事例も増えていくでしょう。

質問をする参加者(Agile Japan 2014 スポンサーセッションB-1)
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公認レポーター 吉岡 弘貴

執筆レポート

http://www.manaslink.com/hirotaka-yoshioka

 


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