ブートキャンプ本はなぜ書かれのたか Part1:SCRUM BOOT CAMP THE TALK レポート(2)

2013年3月7日(木)にジュンク堂池袋本店で開催された「SCRUM BOOT CAMP THE TALK」のレポート。Part1は3人の著者と編集者によるトークセッションをレポートします。

SCRUM BOOT CAMP THE TALK_1

■『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』がますます好きになるトークセッション

SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』の著者である西村 直人さん、永瀬 美穂さん、吉羽 龍太郎さんを司会の岩切 晃子さんが迎えるという贅沢なトークセッションです。アジャイルなソフトウェア開発の導入・実践について、最前線にいる3人を拘束してひたすら質問責めにできる、とても貴重な時間にでした。

◎執筆依頼の背景を大いに語る

まず、口火を切ったのは翔泳社岩切さん。自身のアジャイルとの関わりと、そこから執筆依頼に至るまでの過程について述べました。
岩切さん自身は、比較的早い時期から「アジャイル要素の入った開発スタイルが必須になる」と確信しており、(翔泳社が主催している)Developers Summitというイベントでも、アジャイルに関するセッションを取り入れていたそうです。
DevelopersSummitLogo

さて、アジャイルを取り巻く流れが変わったのは2009年。
この年、アメリカではソフトウェア開発プロジェクトにおけるスクラムの採択率が40%を超えました。アジャイルが名実ともにメインストリームに躍り出たということです。また、この時期にセールスフォースでアジャイル導入の成功事例(スクラムを採用したことで大きな成果を上げた)がありました。このことについて、Developers Summitでは、セールスフォース及川さんに講演していただいたとのことです。
創発 未来につながるために 世界に帆を立てるために Developers Summit 2011
Developers Summit 2011

当時の日本での反応は「アメリカだからできるのでは?」「でも、いろいろ問題あるよね」というもので、岩切さんは「日本でアジャイルなソフトウェア開発ができるのかな?」と感じたそうです。

日本のアジャイルを取り巻く流れが変わったのは2011年。
Scrum Gathering Tokyoというイベントが開催され、楽天Yahoo! JAPANDeNAなどがスクラムによるソフトウェア開発事例の発表を始めたのがこの年です。
Scrum Gathering Tokyo
Scrum Gathering Tokyo

ここで岩切さんは「アジャイル開発が事業や産業を生み出す」「アジャイルが基幹の開発プロセスになってお金を生み出してほしい」という思いを抱くようになりました。そのために必要なものが「」で、それは「東京ならアジャイルに関する話を聞けるけれど、地方では聞けない」「本があれば、読んで勉強しようと思うのでは?」という考えからだそうです。

執筆は「日本で開発経験があるワールドクラスの人」で、「開発に困ったとき、登場人物の気持ちを思い出してほしい」と思い、依頼したそうです。

SCRUM BOOT CAMP THE TALK_2

◎『アジャイルサムライ』との関係を語る

ここからは、西村さん、永瀬さん、吉羽さんの著者3人と岩切さんによるセッションになりました。

著者のひとり、西村さんは『アジャイルサムライ』の翻訳者でもあります。
アジャイルサムライ』と『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』の2冊の関係について質問がありました。

SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』の執筆動機は「『アジャイルサムライ』の対になる本を書きたかった」とのことです。

アジャイルサムライ』は、日本でアジャイルが普及するきっかけになったという実感がある一方で、実はもう一冊必要だとも思っていた。
自分達がどうやって現場でやっていくか?
どうアジャイルにしていくのか?
そういったことを知るための本を書きたかった。

アジャイルサムライ』は「アジャイルとは何かを一言で言い表した本」であり「アジャイルなソフトウェア開発の理想の姿を一冊にまとめた本」なのだそうです。

では、2冊とも読んでいない人はどちらから読めばいいのでしょうか?
「既にチームが立ち上がっており、『やれ』と言われた人」に薦めるのなら『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』、「アジャイルがどういうものか調べたい、全体像を知りたいという人」に薦めるのなら『アジャイルサムライ』とのことでした。

◎『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』を語る

発売されて間もないこの本ですが、さっそく続編について質問がありました。(みんな、やっぱり気になりますよね?)

本が終わっても、彼らの実践は続いている。
後日談で終わるのは面白くないと思っていて、彼らがどうなったのか気になっている。
そういうのがまとまったら、(続編を)出していいかなと思う。

これは期待大ですが「ただし、それが本かどうかは別」とのことです。

この本を読んで驚くことのひとつに、スクラムチームが残業している点があります(しかも一度だけではなく何度も)。
というのは、アジャイルなソフトウェア開発から言及されることが多い概念に、「持続可能なペース」があるからです。ざっくりと言うと「無理して長時間労働を繰り返し開発速度を上げたとしても、それでチームが壊れてしまうなら意味がないよね」という話です。ですから基本的に残業は良しとは見なされません。

……でも、この本では残業が発生しています。質問でも触れられました。
著者の答えは

アジャイルとか関係なく残業はするし、実際に徹夜をしたことは何回もある。それが普通。
実践的な現場を書いた本にも美しいことが書かれていることがあるけれど、実際はそんなにうまくいくわけはない。

ただし「最初から最後までずっと残業しているならそれはおかしくて、問題があるのに何も手を打っていないということ」だそうです。

ちなみに、『SCRUM BOOT CAMP THE BOOK』で残業しているときには、決まった法則があるとのことです。
それは「彼らが失敗したとき」。具体的には「オーバーコミットしたとき」と「問題を先送りしたとき」で、「その状況をつくり出したのは自分たちだから、やらないといけないのも自分たち」「チームのことは自分たちで責任を取らないといけないので、残業している」ということでした。

ブートキャンプ本はなぜ書かれのたか Part2に続く

公認レポーター Eiichiro Ogura


もっと知りたい!SCRUM BOOT CAMP THE BOOK

SCRUM BOOT CAMP THE BOOK

  • 出版社:翔泳社
  • 発売日:2013-02-13

あわせて読みたい!
アジャイルサムライ-達人開発者への道-

著者

西村 直人さん

永瀬 美穂さん

吉羽 龍太郎さん

交流するには

ハッシュタグ:#scrumbcbook

読者と交流用にFacebookページが用意されています。執筆裏話なども掲載されているので、書籍と合わせて楽しめます。

このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です