8月13日より始まったAgile2012も2日めのセッションが終了しました。
私は、日本で国外の著名人のプレゼンテーションを体験する機会はあっても、海外で体験するのは初めての経験でした。今回は、ダラスで肌で感じた世界のプレゼンテーションについてレポートします。

 

■伝える


Agile2012のスピーカーたちは、さまざまな手段でプレゼンテーションに込めた想いを表現します。言葉と資料だけではなく、全身を使ったジェスチャーで想いを伝えます。ジョークを入れたり、たとえ話を使ってオーディエンスの想像をかき立てます。

ときには、スクリーンとスピーカーとオーディエンスという、よくあるプレゼンテーションのイメージを簡単に壊してしまいます。紙を使った手書きの資料で室内360度全てを使ってプレゼンテーションをしたり、オーディエンスの意見をペンでまとめながらプレゼンテーションをしたり……。

彼らは「伝える」ために、バリエーション豊かな表現を用います。純粋に「伝える」ことを目的としてプレゼンテーションをするので、こちらも全身でそれを受け取ることができます。プレゼンテーションは伝えることが大事だとあらためて実感しました。

 

■インタラクティブプレゼンテーション


プレゼンテーションは、インタラクティブ(相互的) なものであるとよく言われます。
プレゼンテーション=「一方的なおしゃべり」ではなく「発表」「出し物」という意味だからと言われれば納得こそするものの、日本ではどちらかというと、講義形式のプレゼンテーションが多いため、あまり実感はできませんでした。

ところが、世界的に有名なスピーカーのプレゼンテーションに参加していると、ほとんど全てのセッションでプレゼンテーションがインタラクティブなものだと肌で実感することができます。プレゼンテーションの最中でも、難しいところや興味深いところでは自然に質疑応答が始まります。スピーカーから意図的にコミュニケーションを取りにいく場面も多く見られます。

このようにインタラクティブなコミュニケーションを中心としたプレゼンテーションは、まるでアメリカのコメディーショーに参加しているようなあたたかい雰囲気に包まれるのと同時に、オーディエンスの理解も深まり満足度が高くなるのだと感じました。

 

■プレゼンテーションに「参加する」


これまでスピーカーにフォーカスしましたが、オーディエンスにもフォーカスしてみます。

Agile2012では、セッションのタイプが「Workshop」と「Lecture」に分かれています。名前のとおり「Workshop」は、オーディエンスが実際に手を動かしたりする体験型のセッション、「Lecture」は、講演形式中心のセッションです。

2日間でどちらのタイプのセッションも体験しましたが、オーディエンスもセッションに本気で取り組む人ばかりでした。ほとんどの場合、住んでいる地域も勤務先も違う初対面同士にも関わらず、本気で意見をぶつけ合います。そしてWorkshopの結果に本気で喜び、本気で悔しがります。この本気感や純粋な姿勢がとても心地よく、セッションに集中できる雰囲気を創っているような気がしました。

このように、オーディエンスもプレゼンテーションを「聞く」「受講する」といった受け身の姿勢ではなく、積極的に「参加する」、そして楽しむ姿勢があります。これは海外だからなのか、Agile2012だからなのかは私には判断しかねますが、少なくとも雰囲気の違いを感じました。

ここまで述べてきたことは「良し悪し」を伝えたいからではありません。
私自身、直接、肌で感じることで、プレゼンテーションひとつをテーマにしても多くのことを学んでいます。この体験を少しでも伝えたいと思い、文章にしました。


Agile2012現地レポーター隊「アジャイルクローバーZ及部 敬雄