100回続くものは、どれだけあるでしょうか。
『ドラえもん』は45巻、『男はつらいよ』は48回、紅白歌合戦ですら今年で63回です。そんな中、2012年12月に100回目を迎えようとしているイベントがあります。DevLOVEです。

DevLOVEは2008年6月21日に始まりました。カンファレンスチェアであるpapanda(市谷)さんの「世界を変えるのは、自分自身だ」という呼びかけに共感したエンジニアが、4年間一つ一つ積み重ねてきたイベントです。

そして、記念すべき第100回目のDevLOVEが2012年12月15日(土)・16日(日)の2日間に渡って、東京渋谷の株式会社サイバーエージェント東京本社で行われます。

 

DevLOVE2012のきっかけ

DevLOVE2012と銘打たれたこのイベントのきっかけとなったのは、Ruby開発者まつもと ゆきひろ氏のインタビューでした。

ここで示されている未来像に、papandaさんは強い刺激を受けたと言います。エンジニアはプロフェッショナルでなくてはいけません。一人一人がプロフェッショナルとしての値打ちを出し、コミュニティで集まってもっと値打ちを高めていくサイクルを作りたいそうです。

DevLOVEの原点は一つの社内勉強会でした。しかし、関係者の思い入れが強すぎて運営が難しくなってしまいました。チームや組織を超えて持っているものをもっと自由に持ち寄る方針で再出発したのが、DevLOVEです。

 

DevLOVE2012の魅力

DevLOVE2012の魅力は充実したセッションの数々です。
準備は半年前から始まりました。イベント開催のきっかけとなった、まつもと氏のセッションをはじめ、エンジニアから経営者へ変わった倉貫氏のセッション、UXの第一人者黒須氏のセッションなど、見逃せないセッションばかりです。これだけの登壇者がそろう機会は、もうなかなかないでしょう。

 

DevLOVEという存在

ただ参加するだけではなく、ここでの経験を次につなげてほしいというのが運営側の思いです。
DevLOVEも2009年にpapandaさんと竹本さんをはじめとするコアメンバーが出会ったことで、ここまで続いてきました。そういった化学反応を今回のイベントにも期待しているそうです。
「思い返すと、DevLOVE2012が原点だったよね」
そんな会話を将来聞くことが、運営メンバーの願いです。DevLOVEは未来志向なのです。

DevLOVEの開催を迷ったことが一度あったそうです。2011年の震災後のイベントです。登壇者の和智さんの「こんなときだからこそみんなで元気になるためにやりましょう」という一声で開催することに決まりました。運営チームも登壇者も参加者も含め、みんなの前向きな気持ちでつながっているのがDevLOVEという存在です。

 

DevLOVEの進め方

DevLOVEは、常に密な連絡を取り合いながら運営されています。
ときには午前2時、3時までMLでの議論が続き、朝起きると、またたくさんのメールが届いているということがしばしばありました。2日、メールボックスを開けないでいると、未読が100にもなってしまことがあったそうです。今でも、Facebookなどで頻繁なやりとりが続いています。

最初は月1回くらいだったのが、月に何回も開催するようになり、その頻度はどんどん高くなり、連日DevLOVEということもあります。そして、もっと驚きなのは、これだけの速度でDevLOVEを開催しても、まだ世界が広がることだそうです。

 

■「どれも必要なことだからやっている」

このエネルギーは、一体どこから生まれてくるのでしょうか。
papandaさんによると「すべてのことは必要に駆られてやっている」そうです。自分から違う世界の人に会いに行き、明日の開発現場を良くしたいという、ただそれだけの気持ちで登壇者に依頼するそうです。そして、今まで全ての方が喜んで登壇を引き受けてくれました。そのぶれない軸が、DevLOVEを100回も続けてきた原動力です。

 

DevLOVEは企画屋なのか

うえじゅんさんによると、DevLOVEをやっていると、まるで企画屋のように思われることがあるそうです。
最初はそれがいやでしたが、今は、それはそれでありだとも思うそうです。というのも、イベントの企画で事前に打ち合わせをすることで、そこでしか聞けない話に出会うからです。そしてそれが結果的に大きな財産になっているそうです。会わなかったであろう人がそこで会い、何かが生まれるという期待感が、ここまでDevLOVEを続けさせてきたのです。

 

■MLの人数は今や1,300人

DevLOVEのML登録者数は、約1,300人です。
さらに30倍にして、IT業界人口40万人すべてにメッセージを届けるのがDevLOVEの野望です。DevLOVEに触発されて、現場がねずみ算式に改善されていくことが狙いです。

10年経って「あのときのDevLOVEがね、」という話を聞けるようにしたいと言います。今のDevLOVEは、たくさんの種をまいている段階です。

もう一つ、長く続いているコミュニティにカーネル読書会がありますが、先に40万人の心に届くのはいったいどちらのメッセージでしょうか。

 

papandaさんとは

うえじゅんさんにとって、papandaさんは本気で話せる仲間だそうです。
良き友であり、ライバルであり、尊敬する存在であり、そして世界を変えてくれた人だそうです。沼津から横浜に戻ってきて仕事を始めたとき、DevLOVEに出会って世界が変わりました。

今いない人が、来年はここにいてくれること、そしてそこにpapandaさんがいることが理想だそうです。

DevLOVEpapandaさんという存在を通して、一つの生き物のような存在になっています。誰でもそこに入り、仲間を得、新たな行動を起こす元気をもらうことができます。一つの集大成であるDevLOVE2012の開催は、もう間近です。


DevLOVE2012の事前インタビューに集まってくださった皆さん


ちゃちゃき(@chachaki)さん:DevLOVEDevLOVE2012では、UXデザイン関連のセッションを持ち込んで、魂を込めました(詳しくは私のセッションでお話する予定ですが)。DevLOVEのおかげでUXデザインと出会い、新しい職場に巡り合うこともできました。お客様のためにイイものを作る、それに共感してもらえる仲間をもっと増やせたらと思います。


山口(@yyasuhiro)さん:僕から見てDevLOVEな人たちは、開発をとても楽しんでいて輝いていて、「こうなりたい」と強く憧れる存在です。でも、どんなことでも一つずつ積み重ねる経過を経なければ、たどりつけないと思います。僕も今、小さく一歩を踏み出そうとあがいている状態です。DevLOVE2012は、皆さんの一歩を踏み出すきっかけになれるはずです。是非、足を運んでください。一緒にあがき始めましょう!


うえじゅん(@jun116)さん:DevLOVEは、99回すべてが異なったイベントでした。その集大成が100回目であるDevLOVE2012です!そしてこれからも新しいDevLOVEを開催していきます。さらなる開発の楽しみ方を一緒に探していきましょう!


木幡さん:DevLOVEでは、会社ではできないことができる。利害関係なく、シンプルな想いだけでつながる仲間がいる。ふわっとしてなじむ居場所、それがDevLOVEです。若い人に想いを伝えていきたいです。


papanda(@papanda)さん:DevLOVE2009から3年の時を経て、DevLOVE2012を開催することができます。次のDevLOVE20XXが、いつ開催できるかはまったくわかりません。毎回、やり残すことがないように心がけています。今回もまた。ですから、その一言一言、その一人一人、その一瞬一瞬を見聞きし、感じ、逃さないでください。会場で、相まみえることを楽しみにしています!


インタビュアー 野口 隆史(Manaslink)