「小さく早くがモットー!小さな会社(組織)で、良いサービスを作るための開発スタイルとそれを支える技術」


 

東京サテライトでの事例セッション2では、「小さく早くがモットー!小さな会社(組織)で、良いサービスを作るための開発スタイルとそれを支える技術」というテーマで、45分間のパネルディスカッションが行われました。

現場のスピード感をもっと上げたい。少ない人数で最大のパフォーマンスを出したい。と思っている方は必見のセッションです。

ディスカッションテーマは以下の3つに分かれています。

  1. どのくらいのスピード感で仕事をしていますか
  2. どうやってスピード感をだしていますか。また、チームを小気味よく回す方法は
  3. 変化に追随できる開発基盤や技術とは

 

■1.「どのくらいのスピード感で仕事をしていますか」(回答者:橋本さん、山崎さん)


橋本さん:

2日に1度くらいは改善リリースができている。受託して作り上げるのではなく、サービスとして貸して売上に応じて報酬を得る仕組みを導入しているため、主体的な開発が可能となり、それがスピードにも繋がっている。ビジネスから関わることで、予測していない要求が顧客から突然ふってくることもほとんどない。

山崎さん:

他社との機能比較表を作ると、自社は「×」が多く一見劣っているように見えるが、顧客と話し合いながら、顧客に必要な機能だけを増やすことで効率の良い開発ができている。また、自社開発によってソースコードを100%理解できている点もスピードに繋がっている。

 

このように、ビジネススタイルの面からもスピードを上げるための工夫をしています。一見時間がかかりそうですが、顧客に合うものを顧客と一緒につくっていくことこそスピードアップの秘訣かもしれません。

 

■2.「どうやってスピード感をだしていますか。また、チームを小気味よく回す方法は」(回答者:橋本さん、山崎さん、小川さん)


橋本さん:

ポイントは3点。
生産性が上がるツールなら迷わず導入する。顧客のパートナーになることで自主的に動く。顧客からの非効率な依頼が現場に届かないようマネジメントする。

山崎さん:

慣れたもの・良い道具(椅子やキーボードなど)を使うこと。「備えろ!」は言うが「急げ!」とは言わない。一発でうまくいく方法を考えるのではなく、何を学ぶためにエラーを起こすかを計画した上で、トライ&エラーを繰り返す。また、社員に自由時間を与えることで無駄なくスピードが出ている。

小川さん:

Redmine、GoogleDocs、Lingerといったツールを駆使し、かつそこに顧客も参加してもらうことで、全てを見える化でき、認識違いによる手戻りを無くしている。PaaS(GoogleAppEngine)を使うことも、迅速に開発できる要因の1つ。

 

三者三様の答えでしたが、共通するのは“ツール”。メンバーが気持ちよく働ける環境でチームに適したツールを導入することは、スピード開発にはもはや必須要件です。

 

■3.「変化に追随できる開発基盤や技術とは」(回答者:橋本さん、山崎さん)


そして視点を技術面にシフトし、

橋本さん:

クラウド導入により、準備の早さ・納品の早さ・投資回収の早さ・検証の早さが実現できている。こういったことが早くなると、自ずと意思決定の機会も多くなり、成長回数が増える。

山崎さん:

クラウドによって全てが自動化できている。ボタン1つでRedmineを構築するなど、ノウハウをドキュメントではなく、”動く形“で蓄えられる。

 

みなさん当たり前のごとくクラウドを取り入れていました。時代に合った新しい技術をすばやく導入することが、「小さく早く」を支えるのです。

 

■最後に、1人ずつメッセージ


橋本さん:

レイヤーや企業に関わらず、市場を知ってビジネスのゴールを全員で共有することで良い技術の組み合わせが生まれる。新しい価値を顧客と一緒に考え、迅速に動くことが大切。

山崎さん:

大企業の組織の中でもできることは必ずある。ダメな組織だから起業を考えるのではなく、今いる組織を最大限活用し、周りの環境を変えられるようになることが大事。

小川さん:

縛られていてもできることは多いはず。大手のやり方からも得られるものは多いので、それを活かしつつ顧客に信頼される仕事を。

 

「小さく早く」開発することは、大きい組織でも実現できない話ではありません。ビジネス、マネジメント、技術、ツールといった様々な面から現場を見直し、チームに適した開発スタイルを見付けること。その際のヒントを与えられたセッションでした。

 


東京サテライト公認レポーター:鈴木 富美恵
(早版をベースに加筆修正した正式版レポートです。)