「The Surprising Science Behind Agile Leadership」
 ~アジャイルリーダーシップの背後にある驚くべき科学について~

Jonathan Rasmusson氏
セッション詳細


 

オープニングに続いて、マスターセンセイことジョナサンのキーノートセションです。ここからはUstreamで全国各地のサテライト会場へ中継され、いよいよ本番。新幹線の移動中に頑張ったという角谷さん渾身の和訳付き資料と平鍋さんの通訳フォローも相まって、皆さん楽しまれたようです。


ジョナサンが最初に引き合いに出したのは鉄鋼業におけるマネージャーの振る舞いでした。3交代制の工場でそれぞれの時間帯を担当するマネージャーが自分たちの成果(生産できた数)を書くことで、各チームが自然と競い合うようになり、労働者のモチベーションと工場全体の生産性が向上したというものです。3つのチームが同じ製品を作っているので、どのチームが最も効率良く仕事ができたかを比較するのは簡単です。

では、工場と同じ手法をソフトウェア業界に適用できるでしょうか?チームや個人単位で仕事の内容が日々異なるので、流用するのは難しそうです。そこで注目を集めるようになったのがアジャイル型のリーダーシップです。なぜうまくいくのか?ジョナサンは報酬とモチベーションに関する研究結果に関する動画(ダニエル・ピンク著「モチベーション3.0」の要点)を紹介してくれました(日本語の字幕付きです)。この研究結果はアジャイルの考え方にとても近いと言うのです。

インパクトのあるとても楽しい動画です。大阪会場は満席で後方ではスクリーンの下半分が見えなかったようですが、それでも皆さん興味を引いたそうです。

 

講演後にジョナサンと少しだけ会話する時間を持てました。ダニエル・ピンクの影響は大きいというか、「モチベーション3.0」はお気に入りのようです。私も読んで「なるほどな」と思ったクチなので、この動画は繰り返しご覧いただきたいです。セッションタイトルである「背後にある驚くべき科学」もここに集約されています。

研究により、複雑で創造的な作業では、お金というモノではうまく人を動かせないということが明白になりました。では、どうしたら人は動くのでしょうか?人が動く3つの要因として、自律(autonomy)・熟達(masterly)・目的(purpose)が示され、それぞれ丁寧に説明されています。

「自律(autonomy)によって、チームはどうやってゴールにたどり着くか自分たちで見つけ出し、継続的に進歩しようとする」、まさにアジャイルの目指していることだと思いました。ジョナサンがおみやげに提示してくれたアジャイルリーダーシップの4つのポイント(+おまけ1)のうち、特に気になったのは誰でもすぐに実践可能な2つ!「自分よりも優秀な人をマネジメントするということを受け入れる」と「タズナを少し緩める」です。

どちらも、心に留めておきたい言葉です。アジャイルな組織ではお互いにリーダーシップを発揮しながら仕事を進めます。新しい技術を身に付けた後輩が次々入ってきますし、メンバーはひとりひとり違います。自分のモノサシで評価せずお互いを尊重して新しい価値を生み出せる関係を築きたいものです。


公認レポーター:原田 美香
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