レポーター:森 一樹(2018/07/22執筆)

こんにちは、森です。
今回は、2018年7月19日(木)に開催されたイベント「Agile Japan 2018」のレポートをお送りします。

はじめに

Agile Japan 2018 は、毎回数百人を動員して行われる日本最大級のアジャイル関連イベントの一つです。今回は500人もの参加者が集まりました。そのうち、400人が初参加とのことで、アジャイルへの関心の高さがうかがえます。
私は、セッション「Why Agile? ~Whyからはじめるアジャイル~」のファシリテーターとして、ワークショップを実施いたしました。

この記事では、このセッションでどんなことを行ったのかを紹介します。

Why Agile? ~Whyからはじめるアジャイル~

セッション概要

Agile Japan 2018 のメインテーマである「Why Agile?」を考えるワークショップです。

アジャイルをこれから始めようとしている人、始めているものの悩みを持っている人、そしてアジャイルを使いこなしている人。アジャイルをすること自体が目的になってしまい、本来解決したい課題や問題が解消されない、ということになっているかもしれません。
「なぜアジャイルに取り組むのか?」というWhyに立ち返ることで、自分たちが向かうべきゴールや実践すべきことを見つめなおすことを目的に、このワークショップを設計しました。

担当の実行委員は、実行委員長である今村 博明さん。そしてワークショップのファシリテーターとして森、サブファシリテーターとして森實さん、天野さん、石井さん、福田さん、磯野さんにご協力いただき、計7名体制で臨みました。

参加者はなんと約110名!キャンセル待ちの方もかなりいたようです。会場の都合もあり、入れなかった方には申し訳ございません。この記事で少しでも雰囲気をつかんでいただければ幸いです。

Whyをひとりで考えよう!

「ゴールデンサークル」というスタートアップの手法を使って、Why、How、Whatの順に「なぜアジャイルに取り組むのか」を考えました。

まずは、一人ひとりで「イシューカード」を書きます。「わたしはアジャイルで(理由)を解決/達成/実現したい」という形式で、アジャイルに取り組む理由となるイシューを記載します。みなさん真剣に取り組み、一つのイシューをあげました。すぐ書ける人もいれば、なかなか出てこない、考え込んでしまう人もいました。
なぜ自分がアジャイルに取り組むのか?というのは、なかなか考える機会がないと思います。自分に向き合う、短いようで長い5分間が過ぎていきます。

110人超の参加者があふれる会場
110人超だと大きな会議室でもかなりの人口密度です

Whyをみんなで考えよう!

つぎに、作成したイシューカードを胸に掲げ、似たイシューの人同士でグループを作り直しました。(マグネットテーブルという手法を使っていますので、興味があれば調べてみてください)
5分間という短い時間で、グループを作り直さなければいけません。初対面同士の110人が、コミュニケーションをとりながら自分のイシューを共有し、仲間を見つけていく。これも、アジャイルの一つの姿かもしれません。

110人がグループを作り直す
110人が目まぐるしく移動しグループを作っていくようすは圧巻です

グループを作るにあたってアジャイル経験者が固まらないように配慮をお願いしたところ、その通りにグループが作られました。続々と出来上がったグループが着席し、残ったグループでも経験者が固まらないように調整が行われます。
最終的にはなんと、4分でグループの再編成が完了。これには運営側も驚愕です。

新しいグループでは、一人ひとりのWhyを共有しながら「なぜアジャイルに取り組むのか?」をグループ全員で深めてもらいます。みんなで身を寄せ合って「えんたくん」という丸いダンボールを膝に乗せ、付箋とペンで議論をしていきます。この「えんたくん」によって、参加者間の物理的な距離だけでなく、心理的な距離も近づいたような印象を受けました。

えんたくんを使って議論
えんたくん。机ではなくダンボールです。ここから活発な議論が行われます

Whyは「チーム力を高める」「品質を高める」「ムダの削除」「高速開発」「ユーザの要求に応える」「変化に対応する」「組織作り」など、人によってさまざまでした。話し合いの中で、他人のWhyと共通点が見えてきたり、差異が明らかになることで自身のWhyを再認識させられたり。そんな時間を過ごすことができたのではないでしょうか。

あなたにとって大事な原則とは?Howを考えよう

グループのWhyを共有し、深めたあとは、その目的を達成するためのHowを考えます。「アジャイル宣言の背後にある原則」から原則を選び、その理由を考える、というワークです。
アジャイルソフトウェア開発宣言」を読んだことのある人でも、「アジャイル宣言の背後にある原則」は初めて読む、という方も多くいたようです。この12の原則はすべて、アジャイルにおいて大事な考え方です。今回はその中から、グループで共有したWhyを達成するために特に大事だと思う原則を3つ選び、なぜ大事だと思ったのかを考えることで、アジャイルの価値観を見つめなおすことを目的としました。

19に分かれたグループでそれぞれ3つずつ選んだ結果は、なんと、すべての原則が1回以上は選ばれていました。一言にアジャイルと言っても、どの価値観に重きを置くかは、人によって、グループによって、組織によって異なる、というよい実証にもなりました。
ちなみに、特に多く選ばれていた原則は、以下の4つです。

  • 情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法はフェイス・トゥ・フェイスで話をすることです
  • 要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎します。変化を味方につけることによって、お客様の競争力を引き上げます
  • 顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェアを早く継続的に提供します
  • チームがもっと効率を高めることができるかを定期的に振り返り、それに基づいて自分たちのやり方を最適に調整します

「フェイス・トゥ・フェイス」が群を抜いて選ばれており、普段からみなさんがコミュニケーションを大事にして仕事に向き合っている、向き合いたいという想いがあることがわかりました。

原則を実践するためにあなたは何をしますか?Whatを考えよう

選んだHowの原則について、実現するための「具体的な行動」を考えるワークです。普段から行っていることだけでなく、できていないことでもよいので書いてもらいました。
110人110通りの思い思いのアクションを書き、他者と共有することで、自身の選択の幅を広げることができたのではないでしょうか。ここでも、コミュニケーションに関するもの(全員で話す、対話、安全な場、夢を語り合うなど)が多い結果となりました。

全員で共有し、コメントをしあい、ふりかえりをする

最後に、各自、各グループのゴールデンサークルを見回り、気づきや持ち帰りたいことをまとめてもらう個人ワークを行いました。ゴールデンサークルに緑色の付箋でコメントを残してもらい、A4一枚にふりかえりの内容を記載しました。

私は、ワークショップでは毎回「ふりかえり」を大事にしています。ワークで得たもの、気づきは、できるだけ早いうちにふりかえりをしなければ霧散してしまい、心に残らなくなってしまいます。なにを学べたのか、どんな変化があったのかを改めて自分に問いかけることで想起された事柄は、より強固に自身の血肉になると考えています。

今回のふりかえりでは、参加者自身が作ってきたゴールデンサークルと、他者のゴールデンサークルから得られたものをムダにしないため、全員が集中し心地のよい「沈黙」の10分間が生まれました。みなさん、真剣な顔で持ち帰りたいことを記載していました。みなさんによい気づきが得られたら幸いです。

ふりかえり
一人ひとりが自分と向き合うふりかえり

さいごに

アジャイルな開発で普段行っていることは、Whatであったり、Howであったりするものであり、意識をしないとWhat(手段)がWhy(目的)に置き換わってしまうことがあります。仕事に取り組む際は、ぜひWhyに立ち返って、自分はなんのためにそれをするのか、したいのか、ということから始めていただければと思います。

参加者みなさんの熱意や、サブファシリテーターの協力、そして運営の方々のフォロー、事前リハーサルに付き合っていただいた方々の協力。さらに今村さんの企画があってこそ、このワークショップが実現しました。本当にありがとうございました。
お疲れさまでした!

ゴールデンサークル
みなさんの作ったゴールデンサークルは会場内に展示しました

※画像をクリックルすると大きいサイズでご覧になれます

ゴールデンサークル01
ゴールデンサークル02
ゴールデンサークル03
ゴールデンサークル04
ゴールデンサークル05
ゴールデンサークル06
ゴールデンサークル07
ゴールデンサークル08
ゴールデンサークル09
ゴールデンサークル10
ゴールデンサークル11
ゴールデンサークル12
ゴールデンサークル13
ゴールデンサークル14
ゴールデンサークル15
ゴールデンサークル16
ゴールデンサークル17
ゴールデンサークル18
ゴールデンサークル19

セッション資料


mori-kazuki

レポーター

森 一樹

2013年に野村総合研究所に入社。金融、保険、公共などの大規模プロジェクトでプロセスカイゼンの業務に従事したのち、2017年よりアジャイル開発に従事。
bitLabsという組織で、アジャイル開発へ取り組みやすくするための仕組の構築を行っている。ふりかえり、カンバンなどを駆使し、チームをよい方向に導く「チームファシリテーター」として、社内外で講演・アドバイザー・ワークショップなどを実施。

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