大義のもとに集え!

RSGT2018

こんにちは、畠山です。
Regional Scrum Gathering Tokyo2018(以下、RSGT2018)に参加してまいりました。

Regional Scrum Gathering Tokyoは、日本最大級のスクラムカンファレンスです。スクラムの初心者からエキスパート、ユーザー企業から開発企業、立場の異なる様々な人々が集まる学びの場です。(公式サイトより)
2018年1月11日から13日にかけて、3日間みっちりと行われたRSGT2018ですが、私は最終日のみの参加となりました。すでに会場の雰囲気に一体感があり、少し寂しい思いをしたほどです。

最終日はオープンスペースでの、OST(オープンスペーステクノロジー)というセッションと、クロージングキーノートの構成でした。OSTではその場にいる人が議論したい内容を提起し、自分と周りにいる人たちで、自由にセッションを作っていきます。

先日(2017年10月)参加した、Rakuten Technology conference2017のアンカンファレンスもOSTと同じ思想で、事前に決められたお題目のない参加者主体の自由なセッションでした。そのときにも感じましたが、参加者自らが提案し、その場にいる人との繋がりをもって進化していくセッションの様子は、その話題の多様性と発展ぶりに、これこそがメインコンテンツなのではと思うほどです。認定スクラムや、スクラムチームの作り方をはじめとしたスクラム関連の話題だけではなく、どうやったら未来の子供たちに誇れる日本に出来るか、といったエンジニアリングの領域にこだわらないテーマも多くエントリされていました。

エントリされたテーマのひとつ -どうやったら未来の子供たちに誇れる日本に出来るか-

世界はあなたの中にある(You are the world)

自分自身にうそをつかずに、社会的責任を実行すること

RSGT2018の締めくくりは翔泳社の岩切晃子さんによるクロージングキーノート、「世界はあなたの中にある(You are the world)」でした。
全編通してとても心に響く講演で、講演のなかで語られた、「自分自身にうそをつかずに、社会的責任を実行すること」、「人は大義のもとに集うものだと思うのです」といった言葉は、私にとって大変響く言葉だったため、そのまま今回の記事の小見出しに使わせていただいているほどです。

講演中の岩切晃子さん

最初は親が自分のリーダですが、あるとき、みな社会で役割を持ち(時には持たされ)自分が自分のリーダになるときがくる。岩切さんは役割を持つのがなぜいつも自分なのだろうという葛藤を持ちながら、与えられた場で、自分が輝くために、みんなを輝かせることを大事にしてきたといいます。

岩切さんが講演で述べた、「自分自身にうそをつかずに、社会的責任を実行すること」というのは、日々の仕事にのまれると、簡単なようでいて実に難しいことです。自分のなかの正義と折り合いをつけて仕事をしなければいけない場面は、だれでも経験はあるのではないでしょうか。正義、といいましたが、自分自身にうそをつかないための物差しの一つが、この講演の大きなテーマのひとつである、「大義」というものだと思います。

人は大義のもとに集うものだと思うのです

岩切さんは自分自身の物差しとして、この3つを大事にしてきたと語りました。

  • そこに大義があるか
  • 共感できるか
  • 自分がこのプロジェクトに入ることで貢献できることがあるか

岩切さんの大義とは、「世の中にパッチをあてること、未来にバトンを渡すこと」であり、そのために利益を出すことはとても大事であるといいます。大義といえば、お金が要らないというのはうそであり、成り立たせるためには利益が必要だという考え方は、「どうやって飯を食っていくか」をずっと考えてきたという岩切さんの実感がこもった言葉でした。
「あなたの大義はなにか?」という聴衆への問いかけで講演はクローズしました。ひとびとの働くストレス・悲しみをなくしたい、という大義を語る方、大義というのは変えてもいいのかという問いかけをする方など、ひとそれぞれ、胸を打つものがあったのではないかと思わせる質問が相次ぎました。

クロージング後はこの前での写真撮影が相次ぎました。私もどさくさにまぎれて家族写真を撮りました!

ほんとうにそのプロジェクトに大義があれば、後継者があらわれHackし大義を広げてくれ、継続していくはず。という岩切さんの言葉は、私にとっても強い励ましになりました。エンジニアにとってプロジェクトというものは期限付きのものですが、プロジェクトを支える考え方やポリシー、ノウハウといったものは、次の別のプロジェクトでも継続していくはず、と思います。

この連載の目的としても過去述べたことがありますが、私は、このような社内・社外で得た知見を言葉として残すことで、ささやかながら社内・社外・業界の発展につながっていけばよいな、と考えています。RSGT2018の参加者の方からも、書いてくれてありがとう、と言われる機会が何度かあり、少しは私のこの大義は実を結んでいるのだろうか…と嬉しく思っております。後継者は…今のところおりませんが…。

 

out of the boxシリーズ
ライター

畠山 由貴(はたけやま ゆき)

株式会社野村総合研究所 主任システムエンジニア

2008年より現職。ダイレクト販売を事業とする損害保険会社のシステム開発、保守に8年従事。アプリケーション開発から基盤構築、アーキテクチャ設計まで幅広い知識と経験を活かして各種リーダー、マネージャを担当。現在は、生命保険会社向けのシステム開発に従事し、標準化などの業務を担当。技術やプロセスと人間系の両軸に重きを置いたプロジェクト運営を心掛けながら、先進的なITソリューションを提供している。