「ユーザーテスト(ユーザビリティテスト)」という言葉を耳にしたり、また実際に見学したりする機会が増えているのではないでしょうか。講師の樽本さんにセミナーの内容をうかがいました。

5月に開催した「ユーザーリサーチ」に続き、今度は「ユーザーテスト」のセミナーです。
そもそも「リサーチ」と「テスト」は何が違うのですか?私には同じもののように感じられるのですが。

樽本:確かに誤解している人が多いですね。専門家でもユーザーリサーチ手法の中にユーザーテストを含むと考える人もいます。そういう分類の仕方も間違いではないと思います。
ただ、製品開発プロセスの中でリサーチとテストは全く異なるステージで実施するものです。製品とは「ユーザー/顧客の課題を解決するもの」ですよね。その「解決すべき課題」を見つけるのがリサーチの役割です。次に、リサーチで発見した課題に対する解決案のアイデアを作り出すのが「デザイン」です。そして、そのアイデアを具体的な形にする「実装/プロトタイピング」を経て、最後にその製品/プロトタイプを「テスト」します。
つまり、リサーチは開発の最初のステージで、テストは最後のステージで行います。
なお、近年、アジャイル開発やリーンスタートアップが普及して、デザインからテストまでのステージは同時並行、かつ繰り返し行うようになっています。

—ユーザーテストの重要性が増していると言えるのでしょうか?

樽本:そう思います。ここ2~3年、日本のIT企業、特にスマホを使ったコンシューマ向けサービスを提供する企業を中心にユーザーテストを導入する例が増えています。
ひと昔前、米マイクロソフトは月間700名のテストを実施していると豪語していました。それは極端だとしても、日本でも年間数百名規模のテストを実施する企業は現れています。

—ただ、そうなると、かなりの費用がかかりそうですね。マイクロソフトくらいの大企業ならば可能でしょうが、普通の規模のIT企業、ましてやスタートアップには無理だと思うのですが。

樽本:実は、費用はそれほどかかりません。私が知っている企業は、いずれも「DIY」でやっています。つまり、外部のコンサルティング会社に依頼するのではなく、自社スタッフ中心でやっているのです。そもそも、外注ではアジャイル開発やリーンスタートアップのスピード感に対応できません。これは世界的な傾向で、ユーザーテストは内製化が主流です。
先日、ユーザーテストに取り組む企業の事例発表会をやったのですが、サイボウズDeNAトラベルKDDIスピカピクシブ──と、スタートアップから大企業まで幅広く登壇していただきました。

—自社スタッフでユーザーテストを行うということですが、担当者としてはどういった職種の人が向いているのですか?特別な知識や資格は必要ないのですか?

樽本:向いている人というより、「やらないといけない」人ですね。製品開発ならばプロダクトマネージャーとデザイナーの人たちには必須だと思います。また、フロントエンドに携わるエンジニアの人も身につけておいた方がよいと思います。Webデザインならばディレクターの人たちですね。
基礎知識については、ひと昔前は人間工学や心理学の学位を持った人が多かったのですが、今はそんなことはありません。ちゃんと基礎から学べば、特別な事前知識は不要です。

—今回のセミナーを受講すれば、ユーザーテストが出来るようになるのでしょうか?

樽本:はい。ユーザーテストのコンサルティング業を始めるのは無理だと思いますが、社内で小規模なテストを実施できるようになると思います。
私は企業の社内研修でもユーザーテストを教えているのですが、今回のセミナーはそのカリキュラムと基本的に同じなのです。彼らが出来ているので、皆さんも出来るはずです。

—セミナーの内容を教えてください。

樽本:大きく4つのパートに分かれています。
まず、①ユーザーテスト基礎では、ユーザーテストの基本理論/概念を簡潔に解説します。②リクルートでは、リクルート(被験者探し)のノウハウとリクルート条件の作り方を演習を交えて解説します。③テスト設計では、実際にスマートフォンアプリを対象とした15分程度の模擬テストを設計してみます。そして、④観察/分析では、会場内で実演するユーザーテストを観察・分析します。
このようにワーク主体のカリキュラムになっています。

樽本:ところで、ユーザーテストで一番重要な技術は何だと思いますか?

—観察力とか分析力ですか?

樽本:確かにそれも大切ですが、一番重要なのは「タスク設計」です。
実は、タスクさえ上手く設計できていれば、後はユーザーの横で黙って座って見ているだけでいいのです。私は「ユーザーテストはタスクが命」と口を酸っぱくして言っています。今回のセミナーでもタスク設計には特に力を入れて解説するつもりです。
なお、つい先日、「UTタスク事例集」というドキュメントを公開したので、ご参考までに。

—では、最後にセミナー受講を検討している皆さんにメッセージをお願いします。

樽本:ユーザーテストは製品の利用品質向上のためには欠かせません。一方、米国の有名なユーザビリティコンサルタントのスティーブ・クルーグが指摘するように「ユーザーテストが製品の品質を劇的に改善することは以前からよく知られている。しかし、テストの度に専門のコンサルタントに5,000 ドルから10,000 ドルも支払うとすれば、おいそれと手を出せるものではない」ことも事実です。
解決策は「DIY」にあります。ユーザーテストは外注せず内製化しましょう。内製化すれば、アジャイル開発やリーンスタートアップのスピード感にも柔軟に対応できます。基本を守って、少し練習を積めば誰でも適時適切なテストは行えます。このセミナーがその第1歩になることを願っています。

利用品質を向上する「UX/ユーザーテスト集中講座(夏期)」

申込(peatix)

講師

樽本 徹也(たるもと てつや)

利用品質ラボ代表。UXリサーチャ/ユーザビリティエンジニア。ユーザビリティ工学が専門で特にユーザー調査とユーザビリティ評価の実務経験が豊富。現在はプロのコンサルタントとして、家電からスマホアプリまで幅広い製品/サービスの企画開発に携わっている。
著書は『アジャイル・ユーザビリティ 』 、 『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』(オーム社刊)など。
産業技術大学院大学「人間中心デザイン」講師。
ブログ:人机交互論

One Reply to “企画から分析まで、ユーザーテストの基本技術を1日で身に付けられるセミナー!8/26開催

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