レポーター:三上 陽平(2017/05/25執筆)

会場

2017年5月16日(火)、株式会社オークローンマーケティング 東京オフィスにて開催された「UXリサーチ集中講座(春期)」に参加しました。一般参加者とオークローン社員の皆さんあわせて40名近くが集まり、盛況でした。講師は『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』(オーム社刊)の著者でUXリサーチの第一人者である樽本徹也さんです。

この講座はUXリサーチの「3大手法(インタビュー、ペルソナ、ジャーニーマップ)を1日で学べる」というものです。「座学+ワークショップ」という構成になっていて、学んだことをすぐに手を動かして確認できるのが特徴です。そのため「覚えたつもり」で終わらず、その場で課題や疑問点を確認しながら理解を深めることができます。
実際に受講してみて「これは!」と思ったところを中心に、3大手法ごとにポイントを紹介します。

UXリサーチ3大手法1「インタビュー」

UXリサーチの中で、とりわけ重要で難しいと言われるインタビュー。
まず座学で「師匠と弟子」ことコンテキスチュアル・インクワイアリーの基本原則について学び、その後インタビューのワークショップに入りました。ワークショップは、チーム対抗のゲーム形式で行われました。お互いのシナリオをインタビューで探り合い、正解数を記録するというものです。座学では簡単そうだったのですが、実際にやってみると話を掘り下げることの難しさを痛感しました。

ワークは前半と後半に分かれ、師匠役と弟子役が入れ替わるのがポイントです。師匠側・弟子側、それぞれの立場で考えることによって、話をどう掘り下げるべきかを客観的に体験できます。実際、師匠側(ユーザ)に立ってみると「その聞き方はないよな」とか「話を誘導されているな」というのがよくわかりました。
このように聞かれる側(ユーザ)の立場も体験できるのは、このワークならではだと思いました。

樽本さんから話を掘り下げるコツを教えてもらった後、再度挑戦。どの程度、聞き出すことができたか答え合わせをすると、どのチームも最初と比べて正解の数がぐっと増えており「おーすごい!」という声が上がりました。

インタビュー・ワークショップのようす

UXリサーチ3大手法2「ペルソナ」

ペルソナはアラン・クーパーによって提唱された手法で、UXに興味がある人には馴染みがあると思います。
座学は、基本でありながらも、誰もがつまずきやすい忘れがちなポイントをしっかり押さえることから始まりました(架空と仮想の違い、ペルソナとはパターンを擬人化したものである、など)。

その後、ワークショップに入り、氏名、年齢、性別、住所、職業、勤務先、家族構成といったプロフィールに、価値観や趣向などを加え、そこにイラストを添えて、各自で簡易的なペルソナをつくりました。続いて個別につくったペルソナを持ち寄り、グループ内で似たようなペルソナを一つにまとめ上げていきました。

ここがこのワークの肝で、最終的なペルソナが完成したときには、グループの誰もがペルソナに親しみを持ち共通認識を持てるようになっていました。つまり、ペルソナの作成とはグループメンバー間での共通認識を醸成する作業であり、強いコミットメントなのです。体験してみると「なるほど、本当だね」とメンバー同士で顔を見合わせました。

このワークは業務でも取り入れることができそうなので、早速、職場の仲間とやってみたいなと思いました。

ペルソナ・ワークショップのようす

UXリサーチ3大手法3「ジャーニーマップ」

ユーザーの体験を時間軸に沿って整理するジャーニーマップ。座学では、なかなか知ることができない、カスタマージャーニーマップ、サービスブループリント、エクスペリエンスマップなどとの違いもしっかりと解説してもらえました。また、ペルソナからユーザストリーマップまでの関係性とそれぞれの作成の目的なども学びました。

ワークショップでは、情報提供者・ファシリテーター・書記の3役に役割分担してジャーニーマップを描いていきます。これまでのグループワークですっかり打ち解けたためか、情報提供者役が赤裸々な体験を語り出し、ファシリーテーター役も書記役も食い入るようにして作業が進みました。

私のグループでは映画鑑賞のジャーニーを作成しました。映画鑑賞よりも、その前後に行う飲み屋での仲間との情報共有が非常に楽しいものであるという話が印象深かったです。他のグループでも映画鑑賞をテーマにしていましたが、最終的に同じようなジャーニーマップができ上がっていたことには驚きました。ある行動(アクション)を起こすときに、その前後のアクションが密接に関わっており、それらを把握することができるジャーニーマップの有用性を再確認できました。

ワークの最後に、樽本さんからちょっとした「種明かし」がありました。
前述のペルソナと同じように、このワークでもジャーニーマップの作成を通して、私たちは「ある方法」を実践していたのです──。これはぜひ、講座に出て体験してほしいと思います。

ジャーニーマップ・ワークショップのようす

まとめ

一日という短い時間のなかで「覚えたつもり」で終わるのではなく、ワークショップで「試してみる」「やってみる」、そして「考えて、その場で修正して、さらにやってみる」という、ぎっしり内容が詰まった講座でした。
ワークショップを通して課題や疑問点を確認して修正しているので、講座で学んだことを業務で試して大失敗ということはなさそうです。もちろん、実際の業務にあわせてカスタマイズは必要ですが、どのように進めればいいのか全くわからないということはありません。

これからUXリサーチをはじめる足がかりとなる講座だと思います。

講義のようす

レポーター

三上 陽平(みかみ ようへい)

UXデザイナー/インフォメーションアーキテクト。
プログラマー、サイト制作、Webディレクター/マスターを経て、現在UXデザイナーとして就業中。2017年2月、産業技術大学院大学「人間中心デザイン」履修証明プログラムを修了し、「HCD-Net認定 人間中心設計スペシャリスト」を取得。

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