マナスリンクでは、ソフトウェア製品開発の最前線で活躍する実務家を講師に迎えてセミナーを開催いたします。第1回はアジャイルUXの第一人者、樽本徹也さんの「UXリサーチ集中講座」です。

製品やサービスの企画・開発でUX手法が使われることが増えてきました。開発者の皆さんも、使ったことはなくても言葉自体(たとえば「ペルソナ」など)を聞いたことはあるのではないでしょうか。
講師の樽本さんにセミナーの内容をうかがいました。

UXリサーチとは

—さっそくですが、5/16のセミナーの概要を教えてください。

樽本:ユーザーニーズを把握する「UXリサーチ集中講座」がセミナーのタイトルです。一番の特徴はUXリサーチの「3大手法」を1日で効率よく学べる点です。

—UXリサーチにはどういう意義があるのでしょうか。

樽本:よく使う例えは「どんなにガラケーをテストしてもiPhoneが生まれることは決してない」です。既存製品の問題点を探るのではなく、ユーザーの本質的なニーズを探るのがユーザーリサーチの役割です。

—ユーザー自身も本質的なニーズを知っているわけではありませんよね。iPhoneも実際にものができて、はじめてすごいなと思いました。

樽本:ユーザーは「(モノを)見てはじめて(自分の)ニーズに気づく」のです。「(実は)こんなものが欲しかった!」のだと。

—ユーザーニーズを調べる方法があるのですか?

樽本:方法論は確立しています。表面的なユーザーの「声」ではなく、ユーザーの具体的な「体験」を集めます。それらのデータから体験の背後にある本質的なニーズを探り、可視化します。UXD/HCD、デザイン思考、アジャイル開発、リーンスタートアップ……。イノベーションを起こすためのアプローチはさまざまですが、どのアプローチでも、まず最初にユーザーニーズを把握するステップがあります。それらはすべて、要するにユーザーリサーチと同じことをやっています。

—確立された方法論があることは、あまり知られていないかもしれませんね。

樽本:専門家は昔から使っているんですけれどね。

—「専門家」というのは、ユーザビリティの専門家ということでしょうか?

樽本:一昔前の呼び方はそうですね。今はUXデザイナー、UXストラテジスト、UXリサーチャーなどなどと言っています。

UXリサーチの「3大手法」が学べる

—UXリサーチの「3大手法」についても教えていただけますか?

樽本:次の3つです。

  • ユーザーインタビュー:「師匠と弟子」モデルに基づいた1対1インタビュー
  • ペルソナ:複数のユーザーを合成してつくり出す仮想のユーザー像
  • ジャーニーマップ:ペルソナの行動や感情の変化を時系列に図式化

これらの手法はユーザーリサーチでは必ず使います。

—たった1日でこれだけ学べるのですか!

樽本:効率よく学べるようにカリキュラムを工夫しています。

—UXリサーチの王道が1日で学べるということですね。

樽本:そうです。3大手法を1日で習得できるコースは他にないと思います。

グループ演習が中心

—今回のセミナーは専門家向けですか?それとも入門者向けですか?

樽本:入門者向けです。1日で基礎をしっかり身に付けることを目的としています。

—対象は企画関連の人でしょうか?開発側の人でも対象になりますか?

樽本:UXリサーチは製品企画のための手法です。ただ、今は、開発者も企画段階からプロジェクトに参加する時代になりました。もはや要求定義に従って物をつくるだけで済む時代ではありませんので、開発側の人にも役立つ内容だと思います。

—セミナーはどんな形で進行していくのでしょうか。必要な心の準備があれば教えてください。

樽本:講義とグループ演習で構成しています。ポイントを絞った簡潔な解説をして、すぐにグループ演習に移ります。事前知識は必要としていません。セミナー時間の7~8割はグループ演習なので「眠くなる」余裕はありません。手と頭をフル回転させる1日です。

—ワークショップに不慣れでも大丈夫ですか?

樽本:問題ありません。みんなでやるほうが、ひとりでやるよりも上手くいくものです。他の人を助けたり、助けられたりするからです。

—前回のセミナーの雰囲気を教えてください。

樽本:夏だったのでアイスを食べながらでした。

—楽しそうです!

樽本:でしょ。

ペア割引を使って同僚と参加も

—でも、お高いんでしょうか?

樽本:はい。24,000円です。会社の予算で来る人が多いですね。

—上司を説得して決裁を得るにはどうしたらいいですか?

樽本:企業の研修費としてはそれほど高くないので、「行きたい」と言えば、予算があれば大丈夫みたいです。ペア割引(2人で4万円)があるので、同僚を誘って参加するといいですよ。「共通言語」を持った人が社内に増えますし。

—同僚に興味を持ってもらうにはどう言ったらいいですか?

樽本:「『ユーザーインタビュー』『ペルソナ』『ジャーニーマップ』を勉強してみない?樽本さんから直接教えてもらえるよ!」と誘ってみてはいかがでしょうか。

—今回はどんな会場ですか?

樽本:虎ノ門ヒルズにあるオークローンマーケティングさんの会場です。広い会場で、ゆったりグループ演習できます。オークローンの皆さんも参加するので、活気あふれるセミナーになると思います。

書籍『ユーザビリティエンジニアリング』の活用

—樽本さんの著書『ユーザビリティエンジニアリング』を持って行くと特典はありますか?

樽本:私のサインがもらえます!でも、本がなくても今回のセミナーを受講するうえではまったく問題ありません。本は復習で使うといいですね。

—セミナーを受けると、ひととおりユーザーリサーチができるようになると考えていいのでしょうか。

樽本:残念ながら、すぐには無理だと思います。ただ、セミナーを受講してから、本を片手に試行錯誤すればできるようになるはずです。セミナーでは、本ではできないことを中心にカリキュラムを構成しています。調査は「相手」がいない\と練習できないので。

—セミナーを受ける → 本で復習する → 試行錯誤する、ということですね。

樽本:本気でやりたい人は、それをお薦めします。ひととおりイメージがつかめればいいという人は、セミナーだけで十分です。

ユーザーニーズを把握する「UXリサーチ集中講座(春期)」

申込(peatix)

講師

樽本 徹也(たるもと てつや)

利用品質ラボ代表。UXリサーチャ/ユーザビリティエンジニア。ユーザビリティ工学が専門で特にユーザー調査とユーザビリティ評価の実務経験が豊富。現在はプロのコンサルタントとして、家電からスマホアプリまで幅広い製品/サービスの企画開発に携わっている。
著書は『アジャイル・ユーザビリティ 』 、 『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』(オーム社刊)など。
産業技術大学院大学「人間中心デザイン」講師。
ブログ:人机交互論


1 Comment

EM Zeroのナカノヒト (@em_staff) · 2017年4月21日 at 09:24

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