Agile Japan 2016 セッションB-2
- セッションタイトル:日本型ハイブリッドアジャイルの導入と実践
- スピーカー:長瀬 嘉秀 氏(株式会社テクノロジックアート)
- レポーター:カンケ
- 執筆日:2016年9月9日
- 執筆一覧:http://www.manaslink.com/kanke
「日本では、欧米のアジャイル手法がすぐに取り入れられない」から始まり、「生産性の考え方が、いまだにステップ数やステップ数に対するバグ混入率だよね」という話題で参加者の共感を得ていました。
講演要約
日本は、欧米のアジャイル手法がすぐに取り入れられない、適用できないという現状があります。特に古くからの大企業ほど困難です。アジャイル開発は組織改革にも及ぶので、歴史、功績、成功体験などが多く蓄積されている古くからの大企業では、抵抗が強いのかもしれません。対して、ゲーム業界や新しい企業では容易に導入できる傾向にあります。
生産性を上げるためにアジャイル開発を取り入れたいのであれば、生産性向上のツールを導入するとよいでしょう。
「生産性向上はツールによる」。ほとんどの仕事では、いくら改善しても生産性は大して変わりません。同じツールを使い続けていれば、なおさらです。新しいツールを導入することで、生産性を上げることが可能となります。
「生産性」とよく言われますが、日本では、コードのステップ数やステップ数に対するバグ混入率などを指標としている企業が大半です。このような考え方はワールドワイドで見たらどうでもよく、どれくらいの機能をどれくらいの時間で実装できたか、のほうが重要なはずです。本来であれば考え方を変えなければならないのに、変えられていないのです。
ハイブリッドアジャイルでは、このような考え方やしきたり、ルールを変えられないところに対して、部分的にアジャイル開発を取り入れます。
ハイブリッドアジャイルの一例に、要件定義と総合テストの間の従来型開発をアジャイル開発にした事例があります。ストーリー出しから設計、TDDなどを行うことで、エンジニアのスキルアップにつながりました。さらに、設計の指標がエンジニアにも明確になったため、間違ったものをつくらなくなりました。ウォーターフォールのよいところを残しつつ、アジャイルにすることで、導入・運用もスムーズに行われています。
- ハイブリッドアジャイルの具体例
- Open@ReeL:日立ソリューションズのHybrid Agile手法から、骨組みの部分を抽出して公開したもの
- 楽々Framework:部品組み立て型のWebアプリケーション構築・運用ツール。最新版は「楽々Framework3」
- アジャイル開発のスキル、教育、評価
- アジャイル検定:アジャイル開発に関する知識レベルの確認にオススメ
- アドバンスト・ビジネス創造協会:企業の活性化、競争力強化、新規ビジネス創出を支援
所感
ハイブリッドアジャイルは簡単に言うと、「ウォーターフォールのよいところを残しつつ、アジャイルに」のようです。ハイブリッドアジャイルを継続的に続けていけば、アジャイルになるんでしょうか?
とある勉強会で「アジャイルマニフェストの12の原則に従って開発をしていれば、どのような手法でも、そればアジャイル開発では?」という意見を聞き、確かにそうだなと思いました。「アジャイル」という言葉はわかりやすいようでいて、その実、奥が深い……。
「アジャイルをやっている」や「ハイブリッドアジャイル」、「エンタープライズアジャイル」などで使われる「アジャイル」という言葉の定義が、イマイチわからなくなりました。そもそも「アジャイル」という言葉は、形容詞であって名詞ではありません。
皆さんは「アジャイル」という言葉の定義、わかりますか?
横道にそれてしまいましたが、改善するには、さまざまな事例・手法をあさって自分に合ったやり方を探し、実践するのがよいと思います。ハイブリッドアジャイルも選択肢の一つになるかもしれません。
参考文献
- 『ハイブリッドアジャイルの実践』(英繁雄、奈加健次、平岡嗣晃、前川祐介、リックテレコム、2013年)
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