Agile Japan 2015

「日本のふつうの企業」とアジャイル

あらゆるもののデジタル化・インターネット化が進む世界で、日本企業はやや遅れを取っていると言われています。国内のソフトウェア業界を取ってみても、開発の主流は30年以上にわたってウォーターフォールです。
しかし、そんな状況に危機感を持った「日本のふつうの企業」の経営層からの、アジャイルへの関心が高まっていると、自らも国内大手ベンダーに所属する和田憲明実行委員長がオープニングで語りました。

Agile Japan 2015 Opening
オープニングスピーチ中の和田実行委員長
(写真提供:筆者)

「日本のふつうの企業」にアジャイルを持ってくることが何を意味するのか。それは、ウォーターフォールを前提とした仕組み・マインドセットを変え、組織のあり方を考え直すこと、と言えるのではないでしょうか。2015年のアジャイルジャパンは、この点が意識されたプログラム構成になっていました。

なかでも、この日の最後の時間に設定された、アジャイルを支持する「日本のふつうの企業」の重鎮たち(東京海上日動システムズ株式会社 顧問 横塚裕志氏、株式会社富士通システムズ・ウエスト代表取締役社長 宮田一雄氏、日本電気株式会社 ソフトウェア生産革新本部主席品質保証主幹 誉田直美氏)が集まったパネルディスカッション「日本企業としてアジャイルに期待すべきこと、やらなければならないことは何か?」は、今年のアジャイルジャパンのコンセプトの狙いを体現していたと言えるでしょう。特にQAセッションが盛り上がりを見せました。

重鎮たちが考えるアジャイル、重鎮たちからのエール

基調講演で「アジャイルとウォーターフォール、どちらがいいという議論ではない。会社全体を顧客指向にしていかなければならない。This is Agile.」と語った横塚氏。
それぞれの現場で誤解の目を向けられ、進まないアジャイル導入・推進の悩みを打ち明ける会場の質問者たちに「(たとえるなら)相撲をやっていた人に『ラグビーやろう』って言っているようなもの。そう簡単には変わらない」と前置きしながら、「相手の仕事にとってどうメリットや価値があるのか、という視点で説明してみては」とアドバイスし、「(経営層の立場から言うと)アジャイルの説明を聞きたいわけではない」と加えました。
また、ベンダーとユーザーの「助け合い」のメソドロジーとしてのアジャイルに期待を寄せる宮田氏は「(推進を阻んでいる)相手にとって何がネックになっているかを考えて、取り除いてあげることが大切」と語りかけました。

Agile Japan 2015 A-4
パネルディスカッション中の一コマ
左から森崎氏、宮田氏、誉田氏、横塚氏
(写真提供:実行委員)

この後も組織や他人との壁に悩む質問が集中したためか、回答は人間関係や本音の対話の重要性などにわたっていきました。

前半のパネルで「(品質が専門である)私がこれだけ大丈夫って言っているのにアジャイルが広まらない」と嘆いた誉田氏が「(今日のQAは)アジャイル関係ないですね、人生相談みたい」と指摘すると、会場は笑いに包まれました。「ここまでアジャイルに理解あるトップがいる会社で働きたいものですね」と、モデレーターを務めた森崎修司准教授が会場の思いを代弁すると、「ここにいる人全員うちの会社に採用するよ!(笑)」(横塚氏)という一言が飛び出す場面も。

「アジャイルに必要なスキルは、チャレンジするマインドのみ」(横塚氏)、「(アジャイルで求められると言われる)コミュニケーション力は、方法論さえ学べば誰でも身に付けられる」(宮田氏)、「新しいことを始めるときは、強い想いがあれば、必ず助けてくれる人がいる」(誉田氏)など、挙げればきりがないほど、会場を励ます言葉にあふれたパネルディスカッションとなりました。

3名の登壇者が温かい本音のエールを送ったのは、チーム・組織の課題に正面から立ち向かう質問者たちと、かつての自身の姿を重ね合わせたからかもしれません。

変革を起こす人、つまり……

ソフト開発の現場に変革を起こす人、略して「ソフトの変人」がつながる場であるアジャイルジャパン。今年は小冊子(通称:魂本)という強力なツールも加わることで、イベントが終わった後もこの熱気は拡散していくことでしょう。

日本のふつうの企業が変わる日は、そう遠くないはずです。

Agile Japan 2015 Networking
参加者同士の交流もアジャイルジャパンの魅力
同じ会社に属する2人、この日が初対面だそう
(写真提供:筆者)

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