セッション概要にあるように、現在多くの組織の課題となっている分散開発でアジャイル手法を行うときの「鍵」を、彼女の経験をもとに語られました。

Agile Japan 2015 Keynote1
(写真提供:Agile Japan 2015実行委員会)

分散環境のコミュニケーション

アジャイル開発は対話が大事であり、当然SweetSpot(一箇所に集まっている環境)のほうが上手くいきます。だけど現実は分散開発環境のほうが多く、国内にとどまらず数ヵ国にまたがることもよくあります。もちろん、分散環境にメリットはあるのですが、コミュニケーションの点ではさまざまな課題を抱える状態になります。言語が違う、文化が違う、そして背景が違う。言葉が理解できても言葉だけでは相手がどういう課題を抱えているかはわからないし、課題は直接聞くことで初めてわかります。

JanetさんがLisaさんと書籍『実践アジャイルテスト』(原書:”Agile Testing: A Practical Guide for Testers and Agile Teams (Addison-Wesley, 2009) )を共著した際も、Lisaさんのお宅に伺うことでLisaさんがどういう背景で仕事をしていたのか理解することができ、直接会うことでスピーディに仕事が進むのを実感したそうです。

ですが直接伺える状況が必ず作れるわけではないですよね?
現代はコミュニケーションツールを活用することで顔を見ることもできるし、作業背景を見ることもできるし、リアルタイムで話もできるし、リアルタイムで話せないときにも伝える方法があります。ツールにより長所が異なるから上手に使い分けることでコミュニケーションの課題をある程度解決することができます。

ツールにもひと工夫

また、テスト担当者によくありがちな「これは一体誰に聞けばよいのだろう??」というケースについても、かんばんのチケットに担当者の絵や写真を添えることで楽しさに加えて質問相手がわかりやすくなる、という事例も紹介されました。

さらに、言葉だけでは伝わらない、サインや絵だけでも伝わらない、共通理解を得るために複数の手段を用いる必要があること、そして互いを気遣い、痛みを分かち合い、失敗から学ぶ組織を創ることが大切であるということをいくつか例を示しながら解説されました。

テスターの役割はテスト設計やテスト実行だけではない

基調講演のタイトルだけを見ると、アジャイル開発の中でどのようなテストを行うのか?という技術的な話が聴けると思った方もいらっしゃったと思います。しかしながら彼女の講演の中でテストに関する技術的な話はほとんどありませんでした。

なぜでしょう?
それはテスターの役割とはテストを設計し実行するだけにとどまらないし、テスト設計やテスト実行そのものよりも大事な役割があることを伝えたかったからではないかと私は思っています。

Agile Japan 2015 Keynote1

リスペクトと共通理解が大事

Doneの定義も国によって異なるので、自分と他人の文化をリスペクトして共通理解を築くことが大事。フィードバックを与えることでチームの共通理解を促進しチームのコミュニケーションの手助けを行い、早い段階でプロダクトの品質や価値を高めていくことがテスト担当者の役割である。
これらは私も職場の活動を通じて痛感しています。

だからテスト担当者にはできるだけ早い段階からたくさんの情報を渡すようにしてくれるとうれしいな、アジャイル手法を取り入れているか否かに限らず、そういうチームや組織がどんどん増えていくとよいな、と思っています。


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