Agile2013_タイトル
Agile2013、1日目の10:45-12:00に行われたLinda Risingさんのセッション “Beyond the Agile Mindset” に参加しました。

Agile2013_発表風景
スピーカーのLinda Risingさんは、日本では特に『Fearless Change』の著者として有名かと思います。パターンランゲージ界の大御所中の大御所で、オブジェクト指向界隈の人であれば一度は目にしたことがある「The Hillside Group」のCOOも務めています。

(編集注:Linda RisingさんはAgile Japan2011でも来日講演しています。)

Lindaさんの近年のテーマに「Fixed Mindsetを克服してAgile Mindsetへシフトしていくことの重要性とその方法論」というものがあります。著書・レポート・ビデオなどを通じてある程度知っていましたが、直接話を聞いたことがなかったので、私の理解にズレがないのかを確認したいと思い、このセッションに参加しました。

Lindaさんのセッションを聞いたことで、あまり意識していなかった私自身の「2つのレベルの思考停止」に気づかされました。この「2つのレベルの思考停止」を防止するためのAgile Mindsetについてレポートします。

■Fixed MindsetとAgile Mindsetの違い

Agile2013_2mindset
このスライドが言いたいことをほぼ全て表している気もしますが、Fixed MindsetとAgile Mindsetの違いを簡単に説明します。

Fixed Mindset

能力があって優秀だけれども、頭でっかちで新しいことにはチャレンジしようとしないタイプのマインドセット・人。

  • コンピューターサイエンスなどを修めた優秀な人に多い
  • 少ない情報でパッと即断できるが、そこで考えや行動が止まってしまう
  • Stereotypeで判断することが多い

ゴールが「他人から良く見られること」というのは、言い得て妙な気がします。

Agile Mindset

チャレンジをして、失敗から多くを学んで成長しようとするタイプのマインドセット・人。

  • 失敗を学びの機会と捉え、そこから多くの情報を得て成長するという思考を持っている

自分の肉体に適切な負荷をかけて筋力を強化していくウェイトトレーニングは、的確なメタファーかも。(ちなみにLindaさんの趣味はウェイトトレーニングです)

Fixed MindsetとAgile Mindsetの違い

Agile2013_mindsetの相違点
一言で言うと、前者(Fixed Mindset)は文句ばかり言って自力で物事を改善できない思考停止の人(弊社ではよく「老害」と称しています)、後者(Agile Mindset)は自力で考え、物事を改善していける人です。

この両者の違いについては、川口 恭伸さんによるAgile2011の記事が参考になると思います。

■Stereotypeに陥っていないか!?

Stereotypeを考える例として紹介していた動画が面白く、グッときました。

ちなみにLindaさん的には、娘さんの友人がこういう人ばかりなので全く平気だそうです。

Stereotypeで考えると(あるいは「考えていない」と言えるかもしれません)、出来ることも出来なくなってしまいます。これって、とても残念でもったいないことです。
しかし、Lindaさんによると、調査・研究の結果、このマインドセットは変えることができるそうです。具体的にマインドセットを変える方法として、次のものを挙げていました。

  • “Which mindset do you want to hold?” と質問してみよう
  • Praise effort, strategies, process
    「才能よりも努力を褒めよ」といった方が分かりやすいかも
  • 失敗を無視せず、そこから学ぼう

改めて自分自身を振り返ってみると「2つのレベルの思考停止」と闘っていることに気づきました。

■2つのレベルの思考停止

今、私が闘っているのは次の2つのレベル(観点)です。

  • 自分自身の成長の観点
  • チームやメンバーを育成・成長させる観点

これまでは前者だけを意識していましたが、ここ数カ月、アジャイルコーチとしてチームに入って育成を担当しているからか、後者の観点で自分のやっていることはどの程度プラスになっているのか?を考えさせられました。特に、心理学者Carol Dweckの著書『Mindset』からの引用で

多くの人、特に教師や親が才能信仰に陥ってマインドセットの重要さを理解していないことが多い

にはハッとしました。

■チームやメンバーの育成・成長に重要なこと

チームやメンバーを育成・成長させる観点で気づいた点を挙げてみます。

1. 早期に意図的に失敗をさせる

チームで新しいこと(チケット管理やTDDなど)を始めようとする際、どうしても次のようなことが起こります。

  • メンバーが従来の方法に固執して抵抗する
  • メンバーが頭でっかちになって、実際にやってみる前に反対をする

私のチームではこれらを「早期に意図的に失敗させること」で克服しています。
例えば、スプリントバックログを始めた際、一部メンバーから「WBSの方が絶対にいい」という反対がありました。そこで言い出しっぺの人に「では、あなたが責任を持ってWBSを管理してください」とお願いしました。結果、3日でWBSの更新が滞り、2週間で更新を放棄。この失敗を受けて当初は抵抗していたメンバーも、スプリントバックログの導入に協力してくれるようになりました。

意図的に失敗させることで学びにつなげる。
若干強引かもしれませんが、早期に改善をしたい場合には有効なテクニックだと思います。

2. 才能を褒めるな、努力を褒めよ

若手のエンジニアで、1カ月くらいで急激に技術が伸びたけれども、その後1カ月ほど停滞しているメンバーがいます。振り返ってみると、最初の1カ月で成長したとき、その努力を褒めていたのですが、それ以上に才能を褒めすぎていたなと気づきました。

努力をより評価しないと、改善への意欲を削いでしまうようです。反省。

3. Stereotypeで判断しない

チームに1名頑固な抵抗者がいて、つい強く叱ってしまうことがあります。ですが思い返すと、チームのリスクを的確に指摘しての抵抗も確かにあるんですね。もしかしたら指摘の仕方がうまくないだけで、チームのリスクに人一倍敏感なのかもしれません。

私自身が思考停止に陥っていないか?改めて考える必要があるなと思います。

■まとめ

  • Fixed MindsetをAgile Mindsetに変えていくこと
  • 失敗から学びを得られるマインドセットに成長すること

自分自身の成長にとっても、チームや若手の育成にとっても重要だと改めて気づきました。
いかに思考停止を防ぎ、自分で考え改善し続けられるか?については、今後も定期的に振り返り続けていこうと思っています。

■おまけ:裏の参加目的

Lindaさんと昨年、Agile2012でお会いしたときと、Facebook/LinkedInでコンタクトさせていただいたときに、Agile2013Lindaさんの地元Nashvilleで開催されることと娘さんが音楽をやっていて(Nashvilleはカントリーミュージックで有名)、ライブを観にきてね!と伺って、それは是非!と参加しました。こういう人と人とのつながりは大事ですね。
Agile2013_Linda and Yoder

■参考書籍

公認レポーター 伊藤 宏幸


もっと知りたい!Agile2013

3 Replies to “[8/5] Agile Mindset−2つのレベルの思考停止の防止:Agile2013 レポート(3)

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